===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2005年4月号 ===================================== 今年の桜は短命だったせいか、より美しく、はかなく感じました。近所にある桜の 名所に足を運んだらちょうど開花したばかりで空が見事なくらいにピンクに染まっ ていました。感激のあまり購入したばかりの携帯で桜の姿を写真に撮っては友人知 人にたくさん写メールを送信してしまいました。……しかし後にパケット代を見て 後悔しました。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆イベント:ユーザーシンポジウム「リアルWebサービス」 ◆部会探訪:BI研/SOA部会 ◆活動実績(2005年3月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【イベント:ユーザーシンポジウム「リアルWebサービス」(4月15日)】 ===================================== 「Webサービス」という言葉はIT業界ではかなり浸透してきました。しかし実装と なるとまだ「前夜」であるところも多いようです。どうしたら日が昇るのか、また 夜明け後には何が起こるのか、そんな疑問を抱える人には「Webサービス稼働」と いう光を実感できる機会になったことでしょう。 XMLコンソーシアムが主催するユーザーシンポジウムが4月15日に品川コンファレン スセンターにて開催されました。今回のテーマは「リアルWebサービス」として、 多角的にWebサービスのリアリティに迫りました。 冒頭の特別講演では外食産業におけるオープン化の取り組みについての解説と、今 年2月に設立したばかりのOFSC(Open Foodservice System Consortium)が紹介さ れました。日本の外食産業のIT機器はいまだに専売特許的で相互接続性やデザイン が魅力的ではないため、オープン化やWebサービスを実装することによる期待は大 きいと株式会社ニユートーキヨーの湯澤一比古氏は話していました。 次の特別講演では情報システムにおける失敗事例をもとに、SOAが関与する場合の 開発特性や落とし穴について日経コンピュータの中村建助氏から語られました。 SOAで「動かない」ことになる可能性を考えると、とにかくSOAを使おうとSOAにこ だわりすぎることや、サービス連携やデータ統合が失敗の要因になりうると中村氏 は指摘していました。 また中村氏も話していましたが、本来SOAは開発の負荷を下げるメリットがあると されています。これをより鮮明にすべく、アマゾンジャパン株式会社の吉松史彰氏 は「Webサービスとは、安価に作れること、インターネットスケールで利用できる こと、アイデアを活かす格好の場であることが特徴です」と強調していました。も はや「つながるのは当たり前」であり、つながると何ができるのか、それぞれのサ ービスを最大限に活用する発想が大事だということに気付かされました。 ほかにも興味深いWebサービス活用事例が2件紹介されました。タクシーの値段表示 を提供するタクシーサイトと、間接材調達システムのプレオマートです。タクシー サイトではユーザーが出発地点と目的地を入力すれば地理情報と料金算出をWebサ ービスで連携させて推定料金を算出するものです。Webサービスで作られているた め、タクシーサイトの機能をASPとして福岡市タクシー協会にも提供するなど活用 されているとのことです。同様にプレオマートでもWebサービスにより接続リード タイムを短縮したり、柔軟性を確保するなどの効果を得ています。 講演を聴いて、Webサービスで成功を収める鍵とは理論よりも発想の柔軟さかもし れないと感じました。理論的にはWebサービスやSOAを分かっているつもりでも、効 果的な実装方法となると画期的なアイデアをひらめくのはそう簡単ではありません。 「SOAをなんとかして使おう」と無理に試行錯誤するよりは、「これをSOAで簡単に できないかな」と自然に思いつくものを実装するほうがSOAらしいような気もしま す。こうした発想を広めるためにもXMLコンソーシアムはよい影響力を及ぼせるの ではないでしょうか。 ◆XMLコンソーシアム 第3回ユーザーシンポジウム http://www.xmlconsortium.org/seminar/u03/prog.html ===================================== 【部会探訪:BI研/SOA部会(4月21日)】 ===================================== BI(ビジネス・イノベーション)研究部会とSOA部会は、ビジネスモデルとIT技術 という対極的な2点からともに業務システムへとアプローチするため常に合同開催 という形になっています。出発点は対照的ですが、現実のシステムを考えると双方 の視点が大事になるのは言うまでもありません。常に両側からバランス良く考える ことで、より現実に即した成果が期待できそうな部会です。 SOA部会活動の一環としては、ESB(enterprise service bus)とSI-bus(Service Integration bus)をキーワードに発表と研究が行われました。 IBM製品を例に挙 げながらESBとSI-busを把握しようとしつつも、ベンダーごとに機能や見解が分か れているところが難点でした。そこで今後は最低限含まれる共通の機能と見解が分 かれている部分を整理していくことになりそうです。ほかにもESBを含む SOAのシ ステム全体図やEAIとの違いを明らかにしていこうと興味深い研究テーマが提案さ れていました。これらの研究成果はWeek等で発表されることになりそうです。 BI部会活動では、販売店を題材にビジネスモデルを考えています。従来は縦割りの サイロ型でとらえられがちでしたが、部会では横方向で考える重要性に着目してい ます。ビジネスモデルをまずはラフなフローからとらえ、後に細かく分析していき ます。今回の部会では仮想の商店の外観や部門ごとの役割をメンバー同士で確認し ながら、それらのラフな関連図を描いていました。これが完成するとのちにビジネ スプロセスの手習いという形で発表される予定です。 そばで見ていると塾にいるような気もしてきました。ITエンジニアに業務の知識と 理解を深めるため、業務のプロが懇切丁寧に現実の業務を教えているという雰囲気 です。コンソーシアムのエバンジェリストでもあるキヤノン株式会社の倉沢さんが 「出荷」と「出庫」の意味の違いを教えてくれたりします。 部会では現実に即した業務を仮定し、メンバー同士で意見を交わしながらビジネス プロセスを明確にしていきます。ただ本を読んだり誰かの話を聞くという受身では なく、能動的に考えることが理解を深めているそうです。ここで得た理解はとても ためになることは間違いないはずです。 また部会参加者はIT技術寄りのメンバーが多いためか、技術的な議論はとても高度 となり、それが互いによい刺激を与えているようです。ある参加者によると、部会 がスタートして約1年の間に技術的な用語の意味がとてもよく理解できるようになっ たと話していました。知識レベルが高い者同士が手合わせすることで互いに鍛えあ い、周囲もそこからよい影響を受けているようです。 ===================================== 【活動実績:2005年 4月】 ===================================== ◆4月11日:TravelXML標準化部会 ◆4月12日:関西活動検討会 ◆4月13日:Webサービス実証部会+メタデータ活用部会 ◆4月14日:運営委員会 ◆4月15日:ユーザーシンポジウム ◆4月19日:ユビキタス・組み込み系部会 ◆4月20日:セキュリティ部会 ◆4月21日:SOA部会+BI研究部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] (Webサービス実証部会は5月中ごろまで週に一度のペースで随時開催) ◆5月10日:関西活動検討会(日本ユニシス関西事業所) ◆5月11日:メタデータ活用部会(リコー小石川事業所) ◆5月12日:運営委員会(NTTソフト) ◆5月18日:セキュリティ部会(東京エレクトロン) ◆5月19日:臨時運営委員会(予定)(NTTソフト)       SOA部会+BI研究部会(IBM箱崎事業所) ◆5月20日:ユビキタス・組み込み系部会(日立 大森ベルポート) ◆5月27日:XMLコンソーシアム総会(東京コンファレンスセンター品川) ◆6月初旬:XMLコンソーシアムWeek開催予定 ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆5月10日〜18日:The 14th World Wide Web Conference(WWW2005) http://www2005.org/ ◆5月18日〜20日:ビジネスシヨウ TOKYO 2005 http://bs.noma.or.jp/ ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== 運営委員会では5月27日の総会に向けて準備をしています。来年度の活動計画など を策定しているところです。 先日協力していただいた「XML & Webサービス普及度アンケート」について、現在 結果を集計し分析しています。この結果は今後の活動計画にも反映させていきます。 XMLコンソーシアム公式イベントではありませんが、毎年恒例の「ビジネスシヨウ TOKYO 2005」が5月18日から20日まで東京ビックサイトで開催されます。なかでも 「デジタルドキュメントフェア」のセミナーでは XMLコンソーシアムメンバーが講 師となります。またブースも出展する予定です。 セミナーではXMLやWebサービスの基礎解説、およびその活用事例、Webサービス実 証部会の実証実験のお披露目、それからユビキタス・コンピューティングについて 講演する予定です。 XMLコンソーシアム会員なら聴講無料です。ぜひ足を運んでみてください。 ◆ビジネスシヨウ TOKYO 2005「デジタルドキュメントセミナー」 http://bs.noma.or.jp/2005/seminar/s02.html#B-1 ===================================== 【編集後記】 ===================================== 今月でようやく月次で部会を開催しているところを一通り巡回することができまし た。部会それぞれの雰囲気や活動内容が把握できるようになってきました。どこも 技術に対する興味やメンバー同士の仲の良さがあり、積極的かつ建設的でとても有 意義だと感じました。 今回足を運んだBI研/SOA部会では部会リーダーらが情報処理学会誌に寄稿したこと なども耳にしました。公式な部会活動ではなくても、もしアピールしたいことがあ れば遠慮なくご連絡ください。メルマガに掲載するなどできると思います。 またユーザーシンポジウムの「SOA前夜の『動かないコンピュータ』」で簡単に 紹介された絵がとても印象的でした。ブログにあったものだそうですが、あまりに 端的に表現されているため広まっているそうです。伝言ゲームではないのですが、 言葉で要望を伝えることとそれを形にする難しさを痛感しました。 ◆Dashi.Blog「ITプロジェクトの実態とは!」 http://www.dashiblog.com/blogs/000140.php ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 XMLコンソーシアム http://www.xmlconsortium.org/ 事務局メール宛先  mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトABCビル Tel: 03-5600-6205 Fax: 03-5600-6431 Copyright(C) 2005 The XML Consortium =====================================