===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2005年11月号(2005年10月31日発行) =====================================  パソコンでカタカタ仕事をして「ふう」と一息ついて外に目をやると、空は夕焼 けでした。もうずいぶん日が短くなりました。カレンダーをめくると年末まであと 少し。これから忙しい季節を迎えますが、カゼに気をつけつつ頑張りましょう。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆イベント:XMLコンソーシアム入門講座 ◆書籍紹介:「リアルWebサービス」 ◆部会探訪:ユビキタス・組み込み系部会 ◆活動実績(2005年10月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【イベント:XMLコンソーシアム入門講座】 =====================================  10月18日から2日間、XMLコンソーシアム入門講座「ユーザー企業のためのWebサ ービス・SOA活用講座」を開催しました。仕事帰りに参加しやすいように開始時間 を夕方に設定し、2日間で1講座という形にしました。  集まった顔ぶれを見ると、開発者、営業、経営者と幅広い層から参加がありまし た。それぞれシステムに関係ある業務を持ち、その立場で今後のWebサービスの行 方を見極め見識を高めるために参加したと話していました。視点は違えども、Web サービス技術や動向についての「リアリティ」を手中に収めたいという気持ちは共 通していたようです。  1日目は基礎編としてXMLそのものやWebサービスの概要から解説を始め、鍵とな る専門用語や発展の経緯を簡潔に解説し、基礎知識を整理していきました。ディス カッションでは現状のWebサービスについての率直な印象や、具体的な関心事につ いて意見交換できました。初日のディスカッションで出た疑問に答えるべく、2日 目は講演者が追加の資料を持参して応用編へと進みました。当初の予定では講義は Webサービスのビジネスモデルと事例紹介でしたが、これにSOAの概要と技術動向を 追加しました。  押さえるべきポイントとして、基本となる規格にはSOAP、WSDL、UDDI、WSSがあ り、推進団体にはW3C、OASIS、WS-Iが挙げられます。またWebサービスのビジネス モデルを大別すると、プロセス改善型、機能提供型(アフィリエイトなど)、仲介 ・インフラ提供型となります。代表的な事例ではそれぞれどのように機能している か、どのような工夫を施したのかなどがまざまざと示されました。またSOAとはシ ステム構築方針であり、その思想をよくかみ砕いて理解することが分散システム環 境における課題を克服することにつながります。  ある参加者はWebサービスの浸透具合に疑問を感じていました。あまり事例を見 聞きしていないためか、Webサービスが浸透している実感が持てないという印象を 持っているようでした。それについて講師の牧野友紀氏(日本ユニシス)は「Web サービスの活用事例はセキュリティの懸念などでセンシティブとなり、公開されに くい傾向があります。しかし実際には企業間のシステム連携にWebサービスを用い ることの抵抗感はかなり減ってきています」と話していました。  また同じく講師の天野富夫氏(日本IBM)は「本来は先に『ビジネスモデルあり き』です。実装の手段であるWebサービスがビジネスモデルを規定することはあり ません」と、あくまでビジネスが目的でWebサービスが手段であることを念を押し ていました。目的と手段を見誤ると本末転倒になりかねず、注意が必要です。  なお今回講座で解説した内容はまさにBI/SOA部会で研究していること、そのもの です。最後に司会が「この講座には実は3日目があります。それは明日のBI/SOA部 会です」と締めくくると、さっそく翌日の部会に参加表明する人もいました。参加 者はリアルな知識を、講師は仲間という収穫を得て講座は幕を閉じました。 ◆XMLコンソーシアム入門講座 アジェンダ ○ 1日目(10月18日) 講義「XML オーバービュー」 講義「Webサービスの現在(いま)」 ディスカッション ○ 2日目(10月19日) 講義「Webサービスのビジネスモデル」 講義「Webサービス事例の紹介」 講義「SOAとは?」 講義「SOAの技術動向」 ディスカッション ◆ユーザー企業のためのWebサービス・SOA活用講座のご案内 http://www.xmlconsortium.org/seminar/051018-19/annai_v2hp.html ===================================== 【書籍紹介:「リアルWebサービス」(XMLコンソーシアム監修)】 =====================================  XMLコンソーシアムが監修したWebサービスの本があります。今年4月のユーザー シンポジウムと同時期に発刊した「リアルWebサービス」です。Webサービスを熟知 し、システム開発などの実践の場で活躍しているXMLコンソーシアムメンバーが執 筆陣に並んでいるため、タイトル通りにWebサービスのリアリティを解説する書籍 です。手に取りやすいサイズに値段も手ごろで、簡潔にまとめられているため教科 書としても使えそうです。  表紙の数式が示すように「SOAP・WSDL・UDDI・WSSの技術にSOAの思考を加えると リアルなWebサービスになる」ことがポイントです。  書籍では、まず「いま」のWebサービス実態として技術体系とユーザー事例を紹 介しています。ここで概要と基本技術を整理できます。次に「標準化」として関係 団体が策定している標準の一覧と動向、またXMLコンソーシアムの部会が中心となっ て手がけたTravelXMLの経緯が分かります。最後に「これから」としてSOAの概念や 意義を深く掘り下げ、今後のWebサービスの方向性を語っています。  FAQで要点だけ手っ取り早く知ることも良いですし、率直な意見交換がなされて いる座談会のようすもまたWebサービスのリアリティを把握するのに役立つことで しょう。 10月の入門講座を逃して残念と感じている人は、この本でキャッチアッ プできます。これから概要を知りたい人、または新人の教材にもうってつけです。 ◆「リアルWebサービス」 監修者:XMLコンソーシアム 著者 :岡部 惠造/天野 富夫/牧野 友紀/瀧本 英雄 発行所:株式会社 秀和システム ISBN :4798010545 発行日:2005年4月15日 定価 :本体 1600円+税 ===================================== 【部会探訪:ユビキタス・組み込み系部会】 =====================================  ユビキタス・組み込み系部会はユビキタスやセマンティックに関するモデルを考 察しています。将来実現が期待されている世界を想像しながら実在する技術要素が どのように組み合わさり相互作用していくのかなど、それぞれの視点から意見交換 などが行われています。一例として部会メンバーが提案した「ユビキタスの参照モ デル」では、ID層、デバイス層、ネットワーク層、サービス層など7層に分け、そ れぞれの層がどのように機能しどのようなXML技術が用いられるかなどが考察され ました。また一方、データのありかたはどうかなど、さまざまな視点から考察が行 われています。  また組み込み機器の調査も行っています。例えば最近話題となっている実在の携 帯電話について搭載されている機能がビジネスの現場でどれだけ有効か、将来どの ような利用方法が考えられるかなど、時にはユーザーの視点となり非常に具体的な 議論が活発に繰り広げられています。  メンバーの意見交換が特に盛り上がるのが、ユビキタス世界の将来像です。願望 もこめられるせいか、創造性に富む意見が次々と出てきます。例えばインテリジェ ントな冷蔵庫なら、外出先から携帯電話で何が不足しているかを確認して生鮮品を 購入できるような賞味期限管理やネットワーク接続など、どのような技術を応用す れば可能か考察を行っています。  あるメンバーは「電子レンジやガス台が料理の指南もできるようになるといい」 と提案していました。その背景には「将来の日本を考えると高齢化は必至。ユビキ タスをキーワードに技術が多くの人の生活に役立てば」との願いがあり、その気持 ちに皆強く共感していました。 ===================================== 【活動実績:2005年10月】 ===================================== ◆10月 3日(月):TravelXML標準化部会 ◆10月13日(木):部会リーダー会、運営委員会 ◆10月18日(火)〜19日(水)  XMLコンソーシアム講座「リアルWebサービス」 ◆10月20日(木):SOA部会+BI研究部会 ◆10月20日(木):ユビキタス・組み込み系部会 ◆10月21日(金):関西部会 ◆10月26日(水):セキュリティ部会 ◆10月27日(木):ドキュメント・メタデータ活用部会 ◆10月28日(金):Webサービス実証部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆11月13日(木):部会リーダー会、運営委員会(日本ユニシス) ◆11月14日(月):TravelXML標準化部会(NTTデータ 豊洲センタービル) ◆11月17日(木):SOA部会+BI研究部会(日本IBM 箱崎) ◆11月18日(金):ドキュメント・メタデータ活用部会(リコー 小石川事業所) ◆11月22日(火):関西部会(日本ユニシス関西支社) ◆11月25日(金):Webサービス実証部会(仮:東京エレクトロン) ◆11月30日(水):セキュリティ部会(東京エレクトロン) ◆12月 1日(木):ユビキタス・組み込み系部会(日立 大森ベルポート) ◆12月14日(水):第4回ユーザーシンポジウム(東京コンファレンスセンター) ◆12月15日(水)〜16日(金):XMLコンソーシアムDay(日本IBM箱崎事業所) ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆11月8日(火):丸山先生レクチャーシリーズ in 東京 2005(特別協賛) http://www.c-sq.com/modules/article/article65.html ◆11月8日(火)〜10日(木):JavaOne 2005 Tokyo(後援) http://jp.sun.com/javaone/ ◆11月16日(水)〜17日(木):ビジネスモデリング・サミット(後援) http://www.otij.org/event/mtf/04-03/ ◆11月25日(金):デジタル・ドキュメント・シンポジウム2005(協賛) http://www.ipsj.or.jp/sig/dd/ ◆2006年2月1日(水)〜3日(金):PAGE 2006 http://www.jagat.or.jp/page/ ◆2006年2月9日(木)〜10日(金) Developers Summit 2006 (オフィシャルコミュニティ) http://www.seshop.com/event/dev/ ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆シンポジウムとDayの日程が確定  XMLコンソーシアムの公式イベント「第4回ユーザーシンポジウム」(12月14日) と「XMLコンソーシアムDay」(12月15日〜16日)の日程が決まりました。師走で多 忙な時期とは思いますが、どうぞ万障お繰り合わせの上、ご参加ください。 ◆TravelXML 1.4勧告案のパブリックレビュー開始  10月27日にTravelXML 1.4勧告案を公開しました。11月28日までパブリックレビュ ー期間としています。今回のTravelXML 1.4勧告案では対象となる取引分野すべて にXML Schemaを開発し、仕様を確定しました。 −TravelXML 仕様公開ページ http://www.xmlconsortium.org/wg/TravelXML/TravelXML_index.html −XMLコンソーシアム プレスリリース http://www.xmlconsortium.org/release/pdf/20051027_TravelXML14_PropRecom.pdf ◆XMLコンソーシアム講座が好評のうちに終了  講座終了後のアンケートによると、講座全般の満足度に対して全員が「非常に満 足」または「満足」と回答し、好評のうちに終了することができました。参加者の 求めるWebサービスの現実味や最新の動向などがよく伝わったようです。終了後に 部会への参加希望者も出て、いい機会を提供できました。 ◆JavaOne Tokyo 2005 でセキュリティの発表があります  11月10日、JavaOne Tokyo 2005のビジネスセッションでXMLコンソーシアムセキュ リティ部会の松永豊氏(東京エレクトロン)が「Webサービス・セキュリティのベ スト・プラクティス」(JBSJ211-04)を発表します。ご興味のある人はどうぞ足を 運んでください。 JavaOne Tokyo 2005 http://jp.sun.com/javaone/ ===================================== 【編集後記】 =====================================  XMLコンソーシアム講座の2日目(10月19日)、まさに最後のまとめを講師が語っ ているその時に地震がありました。茨城県を震源として東京の震度は3くらいでし た。当初参加者は周囲を見渡しましたが、緩やかな揺れが長く続くなか話は滞るこ とはありませんでした。地震にも揺らぐことのない熱意を感じました。  XMLコンソーシアムイベントではありませんが、XML開発者に好評だった「XML開 発者の日」が復活すると小耳に挟みました。かつて日本経営協会が主催していた同 名のシンポジウムを、今回は画像電子学会VMA研究会が主催するそうです。ただし 公表直後に満員御礼となってしまいました。XMLコンソーシアムのメンバーも発表 者に名を連ねていますが、今からでは申し込みが間に合わないのが残念です。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトABCビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2005 The XML Consortium =====================================