===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2006年1月号(2005年12月26日発行) =====================================  これを読むころは年末の大掃除中でしょうか。それとも年明け出勤後でしょうか。 仕事納めの後はどうぞゆっくり休んでくださいね。各地で大雪だそうですから、ど うぞ移動にはお気をつけて。新しい年もまたいい年になりますように。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆特集1:ユーザーシンポジウム ◆特集2:XMLコンソーシアム DAY ◆活動実績(2005年12月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【特集1:ユーザーシンポジウム】 =====================================  第4回目となるユーザーシンポジウムは「XMLの新しい潮流とどうつきあうか?」 をテーマに実施しました。XMLという技術をテーマにするとベンダーからの発表が 多くなりがちですが、ユーザーシンポジウムでは「ベンダー発表禁止」としてユー ザーが直接生の声で語ってもらうことを趣旨としています。  今回は特別講演の2つについて概略をレポートします。講演を聞いていると、XML は自己主張しなくてもシステムのインフラとして重要な役割を担い、また活用方法 は多様化していることが実感できます。 ユーザーシンポジウム開催案内 http://www.xmlconsortium.org/seminar/051214-U04/051214-info-v1.html −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 特別講演1:「建設業における経営とITおよびXMLへの期待」  《大成建設(株) 本社社長室 理事 情報企画部長(CIO)木内里美様》 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  木内氏は2001年から社内システムの再構築に携わってきました。その経験に加え IT技術進展の経緯なども振り返りながら、経営とITまたXMLへの期待について語り ました。経営とITの融合の難しさ、言い換えれば経営にIT技術を適用する難しさに ついて木内氏は3つのギャップを指摘しました。 ○経営部門とシステム部門  システム部門が連呼する英文字略称は経営者には理解しにくい。それで意思疎通 がうまくはかれなくなる。 ○システム部門とユーザー部門  本来、要件を定義するのはユーザー部門。なのにシステム部が肩代わりしてしま うと本当に現場が必要なシステムにならない。 ○システム部門とITサービス企業  互いへの依存度が高いと問題が起こる。合意形成や検収の厳格化が必要。  またCIOが機能しない状況を考えると、役割や権限があいまいであることが原因 にあると木内氏は指摘しました。業務改革を推進するのは誰なのかを明確にしてお く必要性があります。またIT知識に詳しくなることがCIOに必須とは限りません。  大切なのは「トップのコミットメント」であると木内氏は言います。大成建設の 場合は業務改革を推進する情報企画部が社長室所属となり、組織的な位置づけと経 営からの距離の近さが功を奏しました。またデータとビジネスのプロセスを可視化 することも重要です。可視化することで非連携や非効率が見えてくるからです。む しろ可視化しないままでいることはリスクを生むと警戒すべきかもしれません。  企業内のシステムについて多様なアーキテクチャが語られていますが、理論や手 法の優劣よりは実践が大切だと木内氏は説きます。まず可視化すること、すると展 望が開けてきます。「EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)とはこれらをきち んとやることに他なりません」と木内氏モデリングの重要性を強調していました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 特別講演2:「東証のXBRLに向けた取組みとXBRL最前線」  《(株)東京証券取引所 上場部 上場管理担当課長 青克美様》 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  XML標準のなかでも財務報告用のXBRLは幅広い場面で実際に採用されています。 講演では東証におけるXBRLの取組や今後の動向について語ってもらいました。  まず最初にディスクロージャー(情報開示)の意義と、開示には法定開示と適時 開示の2種類があるということから説明が始まりました。ともに両端は同じで上場 企業から投資家へ開示される情報ですが、途中で経由するシステムや組織、また情 報を流す媒介に違いがあります。法定開示はEDINETから財務局や金融庁を経由する もので、正確性が重用視されます。一方、適時開示はTDnetから報道や閲覧サービ スなどを経由するもので、迅速性が重視されるといった性質があります。  現状では多くの情報開示で電子化が実現していますが大半がPDFやHTML形式となっ ており、再利用性に乏しいことが課題となっています。ディスクロージャーの高度 化、つまり再利用性や利便性向上としてXBRLが果たす役割は大きいと期待されてい ます。  東証のシステム化の経緯を見ると1998年からTDnetが稼働し、2003年の第二次 TDnet開始時点からXBRLを導入しています。特に東証はXBRL 2.0仕様を採用した 世界初のケースとしても注目に値します。  2005年8月には適時開示閲覧サービスが拡充され、またXBRLの啓発サイトもオー プンしました。今後は検索機能の付加、緊急能力の増強、XBRL試験データの公開な どが予定されています。XBRL試験データの公開について青氏は今年度中には始めた いと意向を示していました。公開される試験データはTOPIX core30銘柄のうち、 本決算にかかわる決算短信3年分などを予定しているそうです。  また金融庁のEDINETともタクソノミーなど整合性について協調するようにXBRL化 の動きが進んでいます。2007年から2008年度をめどとした第三次TDnetではさらな るXBRLの適用範囲を拡大できるように検討が進んでいるようです。 東証のXBRL啓発サイト「東証:XBRL for the future」 http://www.tse.or.jp/listing/xbrl/ ===================================== 【特集2:XMLコンソーシアム DAY】 =====================================  XMLコンソーシアム DAYでは前日のユーザーシンポジウムと同じ「XMLの新しい潮 流とどうつきあうか?」をテーマとして、それぞれの部会が研究成果を発表しまし た。イベントが1日半という短期間のため、どの部会発表も半年間の活動成果を短 時間に凝縮した濃い内容となっていました。部会ごとに特色が違いますが、どの発 表者も顔が生き生きとしていたのが印象的でした。 XMLコンソーシアム DAY開催案内 http://www.xmlconsortium.org/seminar/051215-16-D07/051215-16-info-v1.html ◆TravelXML標準化部会  これまでの標準化経緯などを振り返りながら、最新版1.4の開発状況や今後の展 望などを語りました。TravelXML 1.3からXML Schemaを一部で追加しましたが、1.4 ではツールを活用して全範囲のXML Schemaを網羅するように大々的に改定と追加を 行いました。これまでは決済場面で使うことを想定していましたが、リテーラーの 窓口業務でTravelXMLが活用されるシナリオを考えています。 ◆ドキュメント・メタデータ活用部会  人材データを扱うHR-XML解説と、リッチクライアントおよびXMLクライアントの 最新動向の2テーマで研究成果の発表がありました。HR-XMLは特徴や国際コンソー シアムの概要、またこれを用いた実証実験の可能性について現段階の見解が示され ました。リッチクライアントやXMLクライアントについてはAjax、InfoPath、xfyな ど最新技術でどこまで可能かデモを交えながら紹介がありました。 ◆Webサービス実証部会  これまでの部会活動を実ビジネス適用、技術的観点、コミュニティの3面から評 価し、2005年度活動の前には大規模実証実験の意義を改めて見直したそうです。部 会内で新しい方向性を議論した結果、基盤技術と応用技術の両面から技術検証を実 施することを念頭に置き、(1)WS-Securityを利用する際の課題を研究し解決するツ ールを開発、(2)Webサービスクライアントを利用した楽しいアプリケーション(写 真地図のコミュニティ:MAPedia)、(3)HR-XMLを利用した実証実験、現在はこの3 項目で活動が検討・進行しています。 ◆セキュリティ部会  2005年3月末にWS-Securityの日本語訳を公開したことに続き、2005年上期には関 連規格を翻訳しました。現段階ではそれら翻訳文書を公開する準備をしています。 標準規格および関連技術の調査報告として部会メンバーがXML Security関連規格の 概観、SOX法対策とアクセス制御、XACML v2.0、Webサービスポリシー、WS-Trustを 解説しました。最後にJavaOneで大盛況だったWebサービス・セキュリティのベスト ・プラクティスについても発表がありました。 ◆ユビキタス・組み込み系部会  ユビキタス社会をテーマに情報構造モデルとライフスタイルの将来像、これら2 点についてこれまで部会内で検討した経緯を簡単に紹介し、パネルディスカッショ ンを行いました。情報構造モデルはそれぞれの立場ごとに多様な見解が示され、互 いに良い影響を及ぼし合っているようです。ライフスタイルは数年前の将来像を振 り返り、現時点でどこまで達成できたか評価するなどしました。 ◆関西部会  地域性がある点で独特な部会です。ほかの部会は研究テーマが看板に掲げられて いますが、関西部会では地域の活動メンバーが活発な活動を行うことが部会の存在 価値となっています。これまでは情報共有としてXML活用事例を調査したり、Webサ ービスの実装を試すことなどを実施してきました。今年度は昨年度作成したWebサ ービスのアプリケーションを元にさらに開発を進めるべく、要件をまとめ、現在は 実装が着々と進んでいます。 ◆ビジネス・イノベーション研究部会  部会活動ではビジネスモデルの研究として架空の会社と新規事業戦略を設定し、 それをもとにビジネスプロセスを検討しました。ただし検討作業は部会内を2チー ムに分けて別々に行い、今回のDAYで結果を披露し合いました。発表では検討した 内容や経緯、またどういう理由で結論を導いたかを重点的に説明しあい、互いの違 いを考察していきました。 ◆SOA部会  ビジネス・イノベーション研究部会と同時開催しているSOA部会では、SOA実装の 記述方式としてのグレゴールグラムを研究した成果を発表しました。グレゴールグ ラムとは実装を視覚的に表現するためのアイコン集です。グレゴールグラムがSOA を実装する時の記述方式として実用的かどうか、また非機能要件(信頼性や保守性 など機能として定義されていないが必要とされる要件)についても研究した結果が 発表されました。  ほかにもアライアンスパートナーゲスト講演として「企業財務会計が変わる、 XBRLの概要と最新動向」をXBRL Japan ISC日本代表の三分一信之氏(日立システム アンドサービス)、「UMTP BPMN研究会の紹介〜モデリングパターン化への取り組 み〜」をUMTP BPMN研究会の紹介の明庭聡氏(日揮情報ソフトウエア)から発表が ありました。 @話題の用語:Web 2.0 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  近年台頭しているインターネットの技術トレンドをまとめた概念。米技術系出版 社オライリーメディアのティム・オライリーが提唱した。例えば個人Webサイトは Web 1.0で、ブログはWeb 2.0となる。主流の変化に注目が集まっている。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ===================================== 【活動実績:2005年12月】 ===================================== ◆12月 1日(木):ユビキタス・組み込み系部会(インターネットイニシアティブ) ◆12月 2日(金):TravelXML標準化部会(NTTデータ 豊洲センタービル) ◆12月 8日(木):部会リーダー会、運営委員会(日立システムアンドサービス) ◆12月13日(火):関西部会(日本ユニシス関西支社) ◆12月14日(水):第4回ユーザーシンポジウム(東京コンファレンスセンター) ◆12月15日(水)〜16日(金):XMLコンソーシアムDay(日本IBM箱崎事業所) ◆12月21日(水):セキュリティ部会+Webサービス実証部会(東京エレクトロン) ◆12月22日(木):ドキュメント・メタデータ活用部会(メタデータ) ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆1月12日(木):部会リーダー会、運営委員会(日立製作所) ◆1月17日(火):関西部会(神戸・コベルコシステム) ◆1月20日(金):Webサービス実証部会+セキュリティ部会(東京エレクトロン) ◆1月25日(水):ユビキタス・組み込み系部会(インターネットイニシアティブ) ◆1月26日または23日:ドキュメント・メタデータ活用部会(ベンチャーSumida・ 仮) ◆1月下旬:TravelXML標準化部会 ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆2006年2月1日(水)〜3日(金):PAGE 2006 http://www.jagat.or.jp/page/ ◆2006年2月9日(木)〜10日(金) Developers Summit 2006 (オフィシャルコミュニティ) http://www.seshop.com/event/dev/ ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆PAGE 2006 クロスメディアコンファレンスでメタデータに関する講演があります  2006年2月3日、PAGE 2006 の クロスメディアコンファレンスでドキュメント・ メタデータ活用部会が「基幹系情報システムへのメタデータ活用」と題した講演を 行います。ご興味のある人は是非ご参加ください。参加費は無料です。 PAGE 2006 クロスメディアコンファレンス http://www.jagat.or.jp/page/2006/cmc/index.htm ◆活動テーマや内容に要望がありましたらお知らせください  先般、会員企業様向けにアンケートを実施いたしました。そこではコンソーシア ム活動に対するご意見やご要望はじめ、XMLやWebサービスの関心や普及度合いにつ いておうかがいしました。このアンケートに関連して活動テーマや内容についてご 意見やご希望がありましたら、事務局までどうぞお寄せください。お待ちしており ます。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  Web 2.0がにわかに流行ってきました。XMLコンソーシアム DAYで少なくとも3人 は口にしていました。同時ではなく、全く異なる部会から異口同音に発せられた言 葉でしたので、「話題の用語」として採りあげてみました。11月にはその名を冠し た企業が発足し、今後ますます重要性を帯びてきそうです。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトABCビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2005 The XML Consortium =====================================