===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2006年4月号(2006年3月31日発行) =====================================  開花した桜を見ると、社会人になった当時の心境を思い出します。新しい生活に 期待と不安が入り交じるなか、通勤電車の窓から見える満開の桜の鮮やかさはとて も印象的でした。桜を仰ぎ見ながら初心に返り、活力を新たにしています。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆Web 2.0 セミナー:企業システムへのWeb 2.0活用を模索 ◆Web 2.0勉強会:さまざまな課題や要望が浮き彫りに ◆部会探訪:情報通信サービス実現の制御技術ほか(Webサービス実証部会) ◆活動実績(2006年3月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【Web 2.0 セミナー:企業システムへのWeb 2.0活用を模索】 =====================================  3日3日、XMLコンソーシアムは旬の話題となっているWeb 2.0についてセミナーと 勉強会第1回ミーティングを同時開催いたしました。会場は大入り満員、会員以外 からの参加も多数見られ、Web 2.0に対する関心の高さを反映しているようでした。  Web 2.0は一見して、一般の消費者や閲覧者向けの話題と思われがちですがXMLコ ンソーシアムはその範囲にとどまらないと考えています。HTMLは登場した当初、企 業システムに馴染まないと思われていたこともありました。ところが実際はどうだっ たでしょうか。そうした予想に反して企業のポータルからWeb EDIが登場し、HTML は企業システムに不可欠な存在にまで発展しました。  「Web 2.0も、HTMLと同じように、企業にとって重要な存在になっていくでしょ う」とXMLコンソーシアム副会長の平野洋一郎氏(インフォテリア代表取締役社長 兼CEO)は話しています。  いまWebを見渡すと日々Web 2.0を具現化するサイトやサービスが次々と登場し、 盛り上がりを見せています。ただしXMLコンソーシアムとしてはWeb 2.0を目的とす るのではなく、企業情報システムにWeb 2.0をどのように活用できるのかを模索し ていきたいと考えています。  セミナーではXMLコンソーシアムのエバンジェリストや関係者がそれぞれの視点 や経験を踏まえ、Web 2.0について考えを述べました。特に利用者側ではなく企業 情報システムを構築する側の立場であることが、Web 2.0をテーマとするなかでは 新鮮かつ貴重に感じられたことでしょう。  例えばWeb 2.0という新しいトレンドを企業情報システムに適用する時、多少言 い回しを調整する必要があると指摘した人もいました。Web 2.0では「永遠にベー タ版」という表現が快く受けいれられていますが、企業の情報システム提供側が顧 客にそう言えば反発をうけてしまいます。そこで「常に最新版」と言い換えるなど、 工夫や配慮が必要だということです。  さらにASP.NET 2.0によるAjax実装方法や、昨年のXMLコンソーシアム活動で行っ たiPlatプロジェクトからWeb 2.0的な要素を考察するなど、技術的な解説もありま した。  今回はWeb 2.0 セミナーの初回ともあり、基礎概念の解説を中心に行いました。 今後はより詳しい技術考察などに踏み込んでいく予定です。4月にはさっそく2回目 のセミナーを開催しますので、ぜひ奮って参加してください。 ◆【開催案内】Web2.0勉強会 第二回ミーティング(4月11日) http://www.xmlconsortium.org/study/Web2.0/060411-info.html ===================================== 【Web 2.0勉強会:さまざまな課題や要望が浮き彫りに】 =====================================  Web 2.0 セミナーに引き続き、会場はWeb 2.0勉強会 第1回ミーティングの場へ 切り替わりました。  当初は会場に残ったメンバーで机を囲む意見交換などを考えていましたが、予想 以上に参加者が多かったためセミナー講演者を中心としたパネルディスカッション を行いました。会場からはいくつかの質問が出され、それにパネラーや会場が解決 策や意見を提示し、とても有意義な内容となりました。  Web 2.0では「マッシュアップ」など、外部のWebサービスを組み合わせて新しい サービスを提供する取り組みが注目されています。こうしたWebサービス構築技法を 企業のサイトに適用する際の疑問が会場から出ました。  企業のサイトともなれば常にサービスを提供できる状態にしたいが、利用する外 部Webサービスが気付かぬうちにサービスの中止や中断をしている可能性も考えら れます。外部のWebサービスがきちんと稼働する保証をどのように確保してしてい けばいいか、外部Webサービスを企業情報システムで利用することに懸念を示す顧 客がいたらどう説得すればいいだろうか。逆に自社サイトのWebサービスを他社に ビジネスとして提供する際、利用者の認証や課金の体系をどうしていくか、など。  こうしたことに関係して、誰もが利用するような汎用的な機能はしかるべきとこ ろが責任を持ってWebサービスを継続的に提供してくれるとありがたいという要望 も出ました。例えば地図情報ならGoogleのほかにも地図を管理している当局や企業、 または郵便番号なら郵政公社など、最新情報を保有しているところが基本的な機能 をWebサービスを公開し提供するようになるととても役立つだろうということです。  また最近では類似の機能を持つWebサービスもいくつか散見されます。もし特定 のWebサービスが中断していても、類似のWebサービスで代替するという仕組みも整 うようになればいいという声もありました。  会場から出た質問や要望は今後Web 2.0を企業情報システムへ導入する際に克服 すべき課題であり、勉強会のテーマともなりそうです。 @話題の用語:マッシュアップ(Mash-up) −−−−−−−−−−−−−−−−−  もともとはポップ音楽にて複数ジャンルの曲をミックスして新しい音楽をつくり 出すこと。Web技術の世界では複数のサービスやコンテンツをパズルのピースのよ うに組み合わせて新しいサービスやサイトを作りあげることを指し、最新のWeb構 築技術の代名詞となりつつある。最近ではGoogleやAmazonのサービスを素材にマッ シュアップしたサイトが次々と登場している。 ◆マッシュアップサイトの例 −はてなマップ:http://map.hatena.ne.jp/ −ラーメンマップ:http://www.ramendb.com/map.php −Writely:http://www.writely.com/ −meebo:http://www.meebo.com/ −Pageflakers:http://www.pageflakes.com/ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ===================================== 【部会探訪:情報通信サービス実現の制御技術ほか(Webサービス実証部会)】 =====================================  Webサービス実証部会ではゲスト講演としてNTTコミュニケーションズ株式会社 プラットフォームサービス部 島谷明氏が独立行政法人情報通信研究機構の委託研 究「異種ネットワーク相互接続環境下における 最適情報通信サービス実現のため の制御技術の研究開発」を発表してくださいました。  研究の予定では平成17年度は防災アプリケーションが課題テーマとなっており、 まず昨年は震災発生時に行政に集まる情報のうち被災地域からの情報を優先する通 信制御技術を研究なさったそうです。実際にはSOAPを用いたWebサービスとなって います。部会では技術的な観点からの考察や意見交換がなされました。 ◆独立行政法人 情報通信研究機構 報道発表 http://www2.nict.go.jp/pub/whatsnew/press/h17/060210-3/060210-3.html  また今後構築するアプリケーション「MAPedia」の構想をさらに深めていきまし た。これはWeb 2.0的な発想で地図を作っていくもので、Web 2.0的コンテンツ構築 を実践するアプリケーションとも言えます。  当部会はMAPediaをWeb 2.0的コンテンツ構築を企業内システムに応用する例とし て示していきたいと考えています。同時に純粋に「作って楽しいもの」「Google Maps をしのぐもの」という目標も掲げています。  部会ごとに着々とMAPediaの具体像が明らかになっていきます。MAPediaでは flickrなど有名なWebサービスもマッシュアップすることも検討されています。ま たクライアントにはパソコンや携帯はもちろん、MFP(オフィス複合機)も想定さ れており、斬新な取り組みになりそうです。  さらにセキュリティ部会と合同でsPlatプロジェクトの検討も行いました。月例 部会とは別に作業部会も随時開催されており、技術的な検討が進んでいます。近い うちにsPlatプロジェクトをアピールするプレスリリースを発信できるよう、準備 が進められています。 ===================================== 【活動実績:2006年3月】 ===================================== ◆3月 1日(水):XMLマスター:プロフェッショナル直前対策セミナー ◆3月 3日(金):Web 2.0 勉強会 ◆3月 7日(火):XMLマスター:ベーシック/プロフェッショナル試験 ◆3月 9日(木):部会リーダー会、運営委員会 ◆3月16日(木):BI研部会/SOA部会 ◆3月17日(金):Webサービス実証部会/セキュリティ部会 ◆3月16日(木):ユビキタス・組み込み系部会 ◆3月22日(水):XMLマスター:ベーシック/プロフェッショナル試験 ◆3月22日(水):関西部会 ◆3月23日(木):ドキュメント・メタデータ活用部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆4月 4日(火):ユビキタス・組み込み系部会(インターネットイニシアチブ) ◆4月11日(火):Web 2.0 勉強会 ◆4月13日(木):部会リーダー会、運営委員会(リコー) ◆4月18日(火):関西部会(日本ユニシス) ◆4月20日(木):BI研部会/SOA部会(調整中) ◆4月20日(木):(予定)ドキュメント・メタデータ活用部会(ベンチャーSumida) ◆4月?日:Webサービス実証部会/セキュリティ部会(調整中) ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆2006年4月11日(火)〜12日(水)  LiM Tec 2006(第6回UMLフォーラム)(後援) http://www.otij.org/event/limtec/2006/ ◆2006年5月17日(水)〜19日(金)  第58回ビジネスシヨウTOKYO IT&C/アドバンストオフィス2006 (協賛) http://bs.noma.or.jp/ ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆XMLコンソーシアムWeekと総会に向けて準備しています  年間を通じてXMLコンソーシアムが最も盛り上がる時期が近づいて参りました。 恒例のWeekは5月下旬、総会は6月頭で調整しています。日程が確定次第、改めて 連絡いたしますのでもう少しお待ちください。  Weekや総会では普段活動している部会からの発表に加えて、著名人の基調講演や ゲスト講演も企画しております。請うご期待です。 ◆Web 2.0勉強会 第2回目を開催します  初回のWeb 2.0セミナーおよび勉強会は大入り満員で、空いた席が見えなくなる ほどでした。またどなたも真剣に耳を傾けているようすが伝わってきました。  続けて4月11日にはWeb 2.0勉強会 第二回ミーティングを開催いたします。今回 はWeb 2.0で最近特に注目をあびている「マッシュアップ」をテーマといたしまし た。マッシュアップを企業情報システムとして利用した場合のメリットや実際の活 用例を主軸に議論していく予定です。 【開催案内】Web2.0勉強会 第二回ミーティング(4月11日) http://www.xmlconsortium.org/study/Web2.0/060411-info.html  XMLコンソーシアムはWeb 2.0の盛り上がりをしっかりと受けとめ、企業情報シス テムにもうまく活用できるようにすることが使命だと考えています。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  Web 2.0というトレンドは技術の転換点であると同時に、概念の転換点でもある と感じています。これまでの常識や感覚が塗り変わったり、急転換したり。技術的 なことは比較的容易に受けいれたり習得することができるかもしれませんが、意識 や通念を新しい時代に切り替えていくのは多少困難があるのかもしれないなと感じ ました。なんにせよ、時代は急速に動いているようです。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトABCビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2006 The XML Consortium =====================================