===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2006年12月DAY特別号(2006年12月28日発行) =====================================  今年最後の本号は12月11日から2日間に渡り開催したXMLコンソーシアムDAY特集 です。発表や準備に携わった皆様、本当にお疲れさまでした。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆特集:XMLコンソーシアム DAY開催(12月11日〜12日) ◆部会:雑誌「エンジニアマインド」に関西部会が寄稿 ◆運営委員会から ===================================== 【特集:XMLコンソーシアム DAY開催(12月11日〜12日)】 =====================================  12月11日から2日間、毎年恒例のXMLコンソーシアムDayを開催しました。「XMLの 新しい潮流とどうつきあうか?」をテーマに掲げ、今年度の活動の中間発表を行い ました。同時に基調講演と招待講演では貴重な話を聞く機会となりました。 XMLコンソーシアム DAY開催 http://www.xmlconsortium.org/seminar/06/061211-12/061211-12-prog.html ◆基調講演「Web 2.0が引き起こす社会のパラダイム転換」  フリージャーナリスト 佐々木 俊尚 様  Web2.0とは「90年代(片方向で低帯域)のアンチテーゼ」と佐々木氏。Web2.0と いうと、よくAmazonを例に「ロングテール」が題材となりますが、そのビジネスモ デルはウォルマートなどと同様に巨大な物流の仕組みがあります。しかし近年のネッ トを媒介にした広告でニッチな商品にも目が向けられるようになったことが大きな 変化です。佐々木氏は江戸切子「華硝」を例に新しい広告モデルや成功事例、また mixiなどSNSで起きているソーシャル化の流れを解説しました。 ◆SOA部会・BI研究部会  SOA部会では、SOA適用に用いる各種ガイドの作成を検討しています。SOAを適用 する企画や計画のときに議論になるSOAの共通認識や段階的な発展の方法や、開発 におけるサービスの設計・実装の方針がガイドの中身です。発表では、SOAの成熟 度モデル、サービス設計のノウハウの議論や、関連してSOAを図で表現する試み、 BPELによるワークフロー設計のパターンなどの取り組みが紹介されていました。 さらにサービスが満ちた環境で実現される利用者主導のサービス合成アプリケーショ ンを展望し、現在のクライアントソフトウェアの技術動向が考察されており、多く の人が関心を持って聞いていました。 ◆関西部会  関西部会では引き続き、XML事例調査として「どこで使ってますねん?!」とア プリケーション実装となる「どこで何してますのん?」をさらに発展させています。 XML事例調査ではデータを効率的に蓄積し活用する方策が検討項目としてあがるよ うになってきました。具体的にはXMLデータベースやマッシュアップの活用も案に あり、よりシステム的な事例集に発展しそうです。アプリケーション実装ではWeb 2.0的アプリケーションを、ユーザーが簡単に組み立てやすい、開発者が簡単に構 築しやすい仕組みを盛り込もうとメンバーから多様なアイデアが出されています。 和気あいあいとした雰囲気が伝わってきます。 ◆XMLDB勉強会  XMLDB勉強会は今年の10月から始まりました。マーケティング系と技術系の2つの サブグループに分かれ、XMLDBを研究していきます。技術系サブグループでは XQueryなど技術文書の翻訳を行うドキュメンテーションチームと、実際にXMLDB製 品を使い倒すため製品(Xpriori、Cyber Luxeon、DB2)ごとにチームを編成しまし た。メンバー間でXMLDBの情報交換をしているうちに、RDB経験者にはXMLDBへのア レルギーがあることに気付いたそうです。そこからXMLDBおよびXMLの本質とは何か という問いに発展しています。 ◆Web2.0部会  Web2.0部会のテーマはWebの新潮流であり、研究対象は広範にわたります。部会 内では特に関心の高い項目を分析し、多様に研究しています。勉強会時代にhon.jp を活用したマッシュアップ事例は好評でした。いま部会活動ではマッシュアップ事 例研究の題材に「Sun×Recruit Mash Up Award」受賞作品を用いて、技術的な考察 や使用感の感想を述べ合うなどをしました。またマッシュアップでは複数のサイト からコンテンツを組み合わせるため、著作権やクリエイティブ・コモンズの研究を 行いました。技術的考察としては実際の開発ツールの紹介やRESTとSOAPの比較など を発表しました。 ◆クロスメディア・パブリッシング部会  「紙・Web・携帯など複数メディアへ出版する視点からのXML利用」を考えるクロ スメディア・パブリッシング部会では、今後円滑に議論が進むように関連する技術 用語を整理するところから活動を開始しました。一般に「クロスメディア」は「ワ ンソース・マルチユースによって管理されているコンテンツを複数のメディアに出 力する」だけと思われがちですが、この部会ではさらに発展形を定義し「複数メディ ア間を利用者が容易に横断できる仕組みをもつもの」としています。PAPIT Forum、 JGAS2006、IfraExpo、IPTCなど国内外の各種展示会・国際会議に足を運び、クロス メディアを実践する技術や手法などを研究しています。クロスメディア実践企業の 訪問や日本印刷技術協会主催のPage2007の見学も予定しています。 ◆セキュリティ部会  セキュリティ部会では標準規格の調査としてWS-Policy、WS-SecurityPolicy、 Digital Signature Service、SAML 2.0などに取り組んでいます。今回発表したの はWS-Policyで、WSDLでは表現できない規則を表現するものです。発表ではWSDL 1.1との比較やWS-Policyのモデルを提示しました。また近年当部会では技術文書や 仕様の研究が中心でしたが、最近ではDigital Signature Serviceを用いたアプリ ケーション試作など、より実践的な内容で準備を進めているところです。 ◆sPlatプロジェクト  sPlatプロジェクトとはセキュリティ部会とWebサービス実証部会が合同で取り組 んでいるプロジェクトで、暗号化したXMLデータを利用する技術についての課題と 対策を研究しているものです。発端はかつてXMLコンソーシアムで行ったTravelXML 実証実験でした。複数のWebサービスを組み合わせ、その間を暗号化したXMLデータ が伝播するときに妥当性検証で支障が生じることがあることが分かりました。現時 点ではスキーマ変換方法の詳細や、暗号化ポリシーとの連携などを中心に研究が進 んでいます。 ◆Webサービス実証部会  Webサービス実証部会では最近研究しているWebOSを中心に発表がありました。こ れまで同部会ではAjaxなどを用いてWebサービスのマッシュアップに成功し「プラッ トフォームとしてのWeb」を実証してきました。するとOS化するWebというのが見え てきて、実際に最近急速に広まっているWebOSに目を向けることにしました。WebOS はリモートデスクトップとは少し違う「第3のOS」であり、今後の基盤技術として 発展していきそうです。今回はStartForce、eyeOS、YouOSなどを例に挙げ、機能や 仕様の比較を行いました。今後はWebOS上でのアプリケーション開発、WebOS同士の 連携などを検討しています。 ◆招待講演「Web2.0時代のセキュリティ」  XMLコンソーシアムエバンジェリスト 丸山 宏 様  日本IBM東京基礎研究所研究員 佐藤 史子 様  昨今では個人情報保護法やSOX法を背景に、セキュリティへの関心が高まってい ます。情報セキュリティについて「セキュアかどうかではなく、リスクの程度で考 えなくてはなりません。リスクはゼロにはできないが、管理することは可能です」 と丸山氏は指摘しました。Web2.0時代のセキュリティにはポリシーと責任の明確化 やわかりやすさが重要になります。最近のセキュリティ技術動向については、佐藤 氏がWS-Securityを中心にWS-Trust、WS-SecureConversation、WS-SecurityPolicy などを解説し、こうした技術に関する課題や対策などを説明しました。 @話題の用語:WebOS −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−  ネット上に存在するOS(Operating System)。ブラウザ上にデスクトップを表示 する。ユーザーはブラウザからログインすればどこからでも同じデスクトップ環境 を利用することができる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ===================================== 【部会:雑誌「エンジニアマインド」に関西部会が寄稿】 =====================================  関西部会が雑誌に寄稿しました  2006年12月15日発売の雑誌「エンジニアマインド Vol2」で、関西部会の活動が 掲載されています。特集「Web 2.0でいってみましょ」と題して、Web2.0の基盤技 術となる認証システム、Webサービス、クライアントのツボをついた解説を行って います。 ◆「エンジニアマインド Vol2」(技術評論社) http://www.gihyo.co.jp/magazines/emind 関西部会リーダー芦田尚人さんより: 「地域活動の定着を目指した関西部会が実施する実装、調査、環境構築の  3つのテーマの中で、作って学び可能性を探る実装を行った「いまどこで  何してますのん!」を、エンジニアマインドVol2の特集で紹介しました。  内容では、Weekで発表を行った臨場感そのままに、楽しくそれでいて  チャレンジしたことを活字で伝えるべく努力を致しました。背景、デモ、  技術説明と凝縮された内容になっておりますので、一度ご覧ください。」 ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆メルマガ発行日が変わります  これまで当メルマガは毎月の最後の平日に配信しておりました。来月より10日 配信に変更いたします。今回はXMLコンソーシアムDAY特別号とし、通常のメルマガ は、年明けすぐの1月10日に配信いたします。どうぞご了承ください。 ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  昨年度のDayでは複数の部会が新出のキーワードとして「Web2.0」を指摘してい ました。あれから数ヶ月後にあらゆる場でWeb2.0ブームが起きたのは説明するまで もなく、あらためてXMLコンソーシアム部会メンバーのアンテナに敬服するばかり です。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2006 The XML Consortium =====================================