===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2007年2月号(2007年2月13日発行) =====================================  XMLDB事例紹介セミナーを開催した当日、なんという偶然かW3CからXQuery 1.0、 XPath 2.0、XSLT 2.0が勧告になったと発表がありました。XQueryはXMLDBに欠かせ ない技術です。これらの勧告が新しいXMLDB時代の契機になるといいですね。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆イベント:XMLDB事例紹介セミナー開催(1月23日) ◆部会探訪:Web2.0部会+Webサービス実証部会(1月24日) ◆活動実績(2006年1月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【イベント:XMLDB事例紹介セミナー開催(1月23日)】 =====================================  1月23日、XMLDB事例紹介セミナーを開催しました。  http://www.xmlconsortium.org/seminar/06/070123/070123-prog.html  冒頭のセッションではXMLDB勉強会リーダー加藤哲義氏(株式会社サイバーテッ ク)が「XMLDBの特性とそのユーザ像」と題して、XMLおよびXMLDBの特徴、加えて いくつかのXMLDB導入事例を紹介しました。続けてお客様から3つの事例が紹介され ました。 ◆「monopedia x XMLDB (DB2 9 pureXML)」  株式会社ネットプライスインキュベーション  新規事業開発室 今井 剛 様  株式会社ネットプライスインキュベーションではmonopediaというCGMサイトを運 営しています。これはWeb2.0時代の典型的なCGMサイトで、仕様を頻繁に拡張しな がら開発していました。当初は現行のRDBでサイト構築・開発を続けていたものの、 仕様変更のたびに行うテーブル再作成などの作業に「正直やっぱり限界」と感じ、 大胆な決断を下すに至りました。リリース3週間前に急きょIBM DB2 9(RDBとXMLDB の両性質を併せ持つハイブリッドXMLデータベース)の採用を決定したのです。  これには開発人員の規模が小さいこと、開発担当者がIBM DB2のXML機能に興味が あったことに加えて、リリース後も機能拡張を続けるCGMサイトの性質をかんがみ 「開発のフットワークは軽いほうがいい」と考えたからだそうです。  利用上のポイントの1つに柔軟な使い分けがあります。ハイブリッドなXMLデータ ベースの特質を最大限生かすように、データの性質ごとにRDBの通常列とXML列を使 い分けました。マスターデータにはRDBの通常列、項目数が変化するデータにはXML 列として格納、同時に問い合わせはSQLとXQueryを使い分けました。これによりRDB の性質とXMLの柔軟性を両方生かすことができたそうです。 ◆「医療用医薬品添付文書のXML化とデータベース利用」  東京薬科大学 医薬品情報解析学 助手 浜田 真向 様  東京薬科大学の浜田氏からは医療用医薬品添付文書(DI)をXML化し、高機能な 検索を実現するためのこれまでの努力と構想が語られました。このDIは医薬品につ いての使用上の禁忌、効能や効果、用法や用量などが記載されているものです。現 在はWebからいつでも参照可能ですが、副作用など重要な情報が予告無く追加され ることもあり、能動的に情報収集を行う必要があります。  現在医薬品関係の情報はすでにSGMLで電子化が行われており、Webから情報参照 が可能です。ただし浜田氏は「読むための文書ではあるが、検索のための(データ) 構成になっていないのです」と、改善の余地があると考えています。例えば文書中 の説明には表記が統一されていないものもあり、効能や症状で検索したくても実際 にはキーワードで全文検索を行うような形となってしまうからです。  そこで検索の質をより向上させるため、データをXML化して細密にタグを追加し アプリケーションで利用することを考えました。試験的な試みとして、まず学生に アルバイトで症状や兆候などを示す部分にXMLのタグを追加してもらい、高度な検 索が可能なアプリケーションを試作しました。なおこの事例ではデータがSGMLだっ たため、XML文書化してXMLデータベースに蓄積し、検索にXPath、表示にXSLTなど を利用しています。 ◆「在庫・受注・生産能力といった   グローバルインフォメーションの可視化システム開発について」   日本ケミコン株式会社    情報システム部一グループ 専門マネージャー 鈴木 則孝 様   株式会社アドス    取締役 プロフェッショナルサービス部長 伊藤 満 様  日本ケミコンではXMLデータから在庫等のグローバルインフォメーションをダイ ナミックに可視化するシステムを構築し、現場から高い評価を得ました。まず背景 として、日本ケミコンはアルミ電解コンデンサの生産数量世界No.1を誇る、精密部 品の製造・販売会社です。世界で8ヶ所に生産拠点があり、グローバルなオペレー ションでは日に18万件の受注情報が発生します。また経年劣化する部品があるため、 廃棄損を最小限に抑えるための在庫管理も重要です。  本システム導入の課題は膨大なトランザクションに堪えうること、国外のユーザ ーも使えるような直感的なインターフェースを提供すること、スケジュールがタイ トだったために段階的なカットオーバーをすること、将来柔軟にシステムの拡張が できるようにオープンスタンダードに対応することなどが挙げられました。最後の 項目からXMLを採用することは必然的な要件でした。  結果的に本システムは基幹システムとDB2 9が連携し、ユーザーインターフェー スにはジャストシステムのxfyを利用しました。特にxfyの採用はカスタマイズやデ ータベースとの連携面で優位性があったことが決め手になりました。今ユーザーは 自在に必要な情報を取得し、ダイナミックにデータの分析や共有ができるようにな りました。鈴木氏は「最初は懐疑的だった現場のユーザーもシステムのデモを見せ たらスタンディングオベーションするほど感激してくれました」と意気揚々と話し ていました。 @話題の用語:CGM(Consumer Generated Media) −−−−−−−−−−−−−−  主としてインターネットのブログや掲示板を活用することで、消費者が自主的に 特定の商品やサービスについてのコンテンツを生成していくメディア。Web2.0の 特徴のひとつ。各種クチコミサイト、Q&Aサイト、SNSも含まれる。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− ===================================== 【部会探訪:Web2.0部会+Webサービス実証部会(1月24日)】 =====================================  珍しい組み合わせで合同部会が開催されました。Web2.0部会とWebサービス実証 部会です。Web2.0部会リーダー野村直之氏が「看板が逆になったみたい」と笑って いました。  過日のXMLコンソーシアムDayで発表した内容を振り返るとその冗談が分かります。 最近ではWeb2.0部会がWebサービスを組み合わせたマッシュアップの比較研究を行 い、Webサービス実証部会がWeb2.0の本質を延長したところにあるWebOSの研究をし ているからです。ただし、マッシュアップはWeb2.0ブームの象徴で、WebOSは将来 のWebサービス技術基盤としての素質があり、看板はそう間違ってはいないのです。  こうして互いに付かず離れずの関係で、相互に関係のある題材をテーマに活動し ていることもあり、合同開催へと結びついたようです。Dayでは両部会の発表日が 同日ではなかったため、部会当日はまず互いにDayの発表内容を簡単に紹介するこ とから始めました。その後に合同で意見交換をしましたが、いつもと違うメンバー 構成だったため、新鮮なディスカッションに感じられたかもしれません。  Webサービス実証部会では引き続きWebOSについての調査を行い、技術的な研究か ら社会やビジネスへの影響を見越し、将来を展望しています。例えばWebOSにより あらゆる端末から自分のデスクトップ環境にアクセスできるようになるかもしれま せん。また個人的に利用するデスクトップ環境と仕事で利用するデスクトップ環境 の切り替え、複数のWebOSの相互利用やマッシュアップなども話題になりました。  Web2.0部会では設立当初から目標として掲げていた「Web2.0提言書」となるもの の実現に向け、いよいよ本格的に具体的な検討が始まったようです。どのような形 にするか、どのような読者を想定してどのようなメッセージを盛り込むかなど。こ れまで部会で議題としてきた題材を足がかりに、組み立てを始めています。成果物 を見るのはもう少し先になるとは思いますが、いまから期待できそうです。 ===================================== 【活動実績:2007年1月】 ===================================== ◆1月10日(水):XMLDB勉強会(マーケティング系) ◆1月11日(木):XMLDB勉強会(技術系) ◆1月15日(月):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆1月15日(月):関西部会 ◆1月17日(水):内部統制勉強会 ◆1月18日(木):BI研部会+SOA部会 ◆1月18日(木):部会リーダー会、運営委員会 ◆1月23日(火):セキュリティ部会 ◆1月23日(火):XMLコンソーシアムセミナー−XMLDB事例紹介 ◆1月24日(水):Web 2.0部会+Webサービス実証部会 ◆2月 5日(月):XMLDB勉強会(マーケティング系) ◆2月 7日(水):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆2月 8日(木):理事会、運営委員会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆2月14日(水):内部統制勉強会(NTTデータ) ◆2月15日(木):XMLDB勉強会(技術系)(日立システムアンドサービス) ◆2月19日(月):関西部会(日本ユニシス) ◆2月22日(木):Webサービス実証部会+セキュリティ部会(内田洋行) ◆2月22日(木):BI研部会+SOA部会(日本アイ・ビー・エム) ◆3月 1日(木)または 2日(金):Web 2.0部会(調整中) ◆3月 2日(金):XMLDB勉強会成果発表会(予定) ◆3月 7日(水):クロスメディア・パブリッシング部会(会場調整中) ◆3月 8日(木):部会リーダー会、運営委員会(日本アイ・ビー・エム) ◆調整中:ユビキタス・組み込み系部会 ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆2007年2月14日(水)〜15日(木)  Developers Summit 2007 (オフィシャルコミュニティ)  http://www.seshop.com/event/dev/ ◆2007年2月16日(金)  丸山先生レクチャーシリーズ in 東京 2006-2007 第4回 (特別協賛)  http://www.c-sq.com/modules/article/article117.html ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆XMLDB勉強会成果発表を調整中です  XMLDB勉強会ではこれまで、XMLDB製品ベンダー各社への訪問や実製品の評価など を行ってきました。勉強会の枠組みで活動したまとめとして、これまでの活動成果 を発表する場を考えています。いまのところ3月2日が候補となっておりますが、 詳しいことが確定したら追って正式に連絡いたします。 ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  XMLDB事例紹介セミナーではXMLDBにはまる傾向があるエンジニアの性格が挙げら れていました。曰く「業務への真摯な情熱」や「現状への問題意識」などがあり、 「型にはまらない」タイプといえるそうです。これをXMLで言い換えると「スキー マレス」とできそうです。ということはXMLDBにはまる人は自らがXMLDBの特性に似 た性格を持っているのですね。はまる理由が分かるような気がします。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2007 The XML Consortium =====================================