===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2008年3月号(2008年3月10日発行) =====================================  2008年2月10日、XMLは10歳の誕生日を迎えます。XMLコンソーシアムでは昨年か ら企画を練り、W3Cや慶応SFCの特別後援を得て、3月5日に世界初のXML10周年記念 イベントを開催しました。今回は、その第一報をお届けします。 メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆イベント:XML1.0勧告10周年記念『XML Today & Tomorrow』(3月5日) ◆イベント:XMLマスター勉強会(2月21日) ◆部会探訪:Web2.0、Webサービス実証部会、XMLDB部会(2月6日) ◆活動実績(2008年2月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【イベント:XML 1.0勧告10周年記念『XML Today & Tomorrow』(3月5日)】 =====================================  XMLコンソーシアムは3月5日、XML 1.0勧告から10周年を記念するイベント「XML Today & Tomorrow」を主催しました。会場には立ち見が出るほど大盛況でした。  XMLは1998年2月10日にW3C勧告となり、今年で10年目の節目を迎えます。本イベ ントでは今までのXMLの進歩を振り返り、様々な業界での利用実態やXMLベースの ITシステムを解説し、将来像を展望いたしました。  基調講演ではW3C 国際化活動を担当する佐々木フェリクス氏が登壇し、XMLがも たらしたものやW3Cの活動を解説しました。佐々木氏はゲーテの「若きウェルテル の悩み」になぞらえ「人間の悩みを解決するXML」として、XMLの有効性を示す例 にコーパスデータの処理における優位点を挙げました。XMLはコーパスデータの妥 当性検証が簡便化し、単語カウントなど手間のかかる処理が減り、一般的な組み 版にも使うことができます。  最近W3Cで策定中の技術仕様には、まずXML 1.0第5版があります(2008年2月5日 時点で編集済み勧告案)。ここではユニコードバージョンの依存性が無くなりま す。ほかにはXML Schema 1.1、XSL-FO 2.0、XQuery 1.0 & XPath 2.0 Full Text 1.0、XProc: An XML Pipeline Languageなどが鋭意勧告に向けて準備中となって います。佐々木氏は(現時点で)「XMLは人間の悩みを完全になくすことはできな かったが、たくさんの人を助けることができました」と結びました。  続いて鼎談(ていだん)として、黎明(れいめい)期からXMLの普及に尽力して きた3名が顔をそろえてXMLの過去と将来を語りました。1996年からXML 1.0仕様策 定から現段階まで関わっている、国際大学併任研究員 村田真氏は10年間を感慨深 く振り返っているようです。また業界初となるXMLパーサーを開発した日本IBM 執 行役員 東京基礎研究所長 丸山宏氏は開発や書籍執筆した当時、「わくわく、楽 しくやっていました」と話していました。村田氏はXMLを「叡知の結集」といい、 丸山氏は「(改訂版はあるが)ずっと同じバージョンでほぼ完ぺきに近い」と評 価していました。  それぞれの視点からXMLベースで開発されたもので最も優れているものを挙げる と、村田氏はAtomフィードを挙げ、「社会のインパクトが大きいこと、技術的な すそ野を広げたから」と述べました。丸山氏はSOAP 1.1とSmartDocを挙げました。 前者は「典型的にXMLで、仕様や規則が緩やか」であり、後者は個人的に気に入っ ていて共著の本もこれを使って執筆したそうです。OASIS日本代表かつアクティブ ・ブリッジ 代表取締役社長 岡部惠三氏はXBRLを挙げました。これは企業が開示 する会計情報に使うXML標準で、ビジネスへの影響力や意義などを話しました。  その後には総勢20名ほどが登壇し、さまざまの立場から発言や解説を行いました。 詳しくはまた追ってレポートいたします。 ◆XMLコンソーシアム主催 XML1.0勧告10周年記念イベント  『XML Today & Tomorrow』開催のご案内  http://www.xmlconsortium.org/seminar07/080305/080305-info.html ◆W3C XML 10 Years  http://www.w3.org/2008/xml10/ ◆W3C XML 生誕 10 周年 ! (W3Cプレスリリース)  http://www.w3.org/2008/02/xml10-pressrelease ◆ITmedia エンタープライズ  「XML 1.0勧告から10年──トラベル、食品、気象情報……つながる世界が拡大」  http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0802/27/news011.html ===================================== 【イベント:XMLマスター勉強会(2月21日)】 =====================================  XMLコンソーシアムは2月21日、XMLマスター勉強会を開催しました。  XMLマスターとは2001年8月に始まったXML技術者認定制度で、ベンダーニュート ラルな試験となっています。試験対象となるエンジニアからの関心・注目も高く、 認定者は2007年8月に1万5千名を超えました。  XMLコンソーシアムではXML技術者育成推進委員会の全面的なご協力のもと、こ れまでも幾度かXMLコンソーシアム会員様向けに「XMLマスター勉強会」を開催し て参りました。今回の勉強会は2007年12月より受験開始となった「XMLマスター: プロフェッショナル(データベース)」試験を対象としました。  勉強会では試験の概要とポイントを1時間半ほど解説し、後にその場で模擬試験、 続けて答え合わせと解説、および質疑応答という流れで進みました。座学だけで はなく模試にも挑戦するので、参加者にとっては集中的に受験勉強をした日になっ たのではないでしょうか。  当該試験「XMLマスター:プロフェッショナル(データベース)」はXMLマスタ ーの上級試験で、主にXMLデータベースの実践的な知識と理解度を問う内容となっ ています。なお同じく「プロフェッショナル」と名のつく試験にはもう1つあり、 それはアプリケーション開発に主眼をおいたものです。  上級試験の対策セミナーということもあり、参加者はXMLの経験者であることに 加え普段からXMLデータベースやリレーショナルデータベースの専門知識をお持ち の方が多かったようです。 ◆XMLマスター勉強会  <プロフェッショナル(データベース)直前対策セミナー>のご案内  http://www.xmlconsortium.org/wg/xmlmaster/080221-info.html ◆XMLマスター  http://www.xmlmaster.org/ ===================================== 【部会探訪:Web2.0、Webサービス実証部会、XMLDB部会の合同部会】 =====================================  年末あたりから今年度の目玉となりそうなプロジェクトが動き始めています。 部会間の得意技術をコラボレーションして、企業Webサイトの将来像を構想し、実 証しようという試みです。  XMLコンソーシアムでは昨年度からXMLDB部会が発足し、非定型データに強い XMLDBの研究が進んでいます。その裏でWeb2.0ブームのトレンドとその実現手段を 熟知したWeb2.0部会、また高い技術力を有し難易度の高い開発への興味や意欲が 高いWebサービス実証部会が活動しています。  つい数ヶ月前、XMLDB部会でXMLDBを利用した企業Webサイトのリニューアルは どうあるべきか、例えばXMLコンソーシアムのWebサイトを例題に検討する、という テーマが興り、上記Web2.0部会、Webサービス実証部会に飛び火して、3部会がそれ ぞれの得意技術を持ち寄って、企業Webサイトの未来像を構想することになりました。  以来、何人かが互いの部会を訪問して基本的なアイデアを検討していましたが、 ついに2月6日に3部会が合同部会を開催し一堂に会することになりました。  初の合同部会では3部会から、20名ほどの精鋭が集まりました。あるメンバーが 会場を見渡して、ふと「部会ごとに雰囲気が違いますね」と気づいたように、服 装や集団の雰囲気が部会ごとになんとなく分かれているのです。部会ごとの文化 の差を感じさせる、興味深い現象でした。  合同部会ではプロジェクトの具体的な内容をつめていきました。現状のWebサイ トからどのようにXMLDBにコンテンツを移行するか。いわば既存コンテンツにどう タグ付けしていくかになりますが、候補となる手法を挙げ、その特徴や効果など を検討しました。また蓄積した後にどのような機能があると有益かも検討しまし た。閲覧者がキーワード(タグ)やコメントを付与できるようにしたらどうか、 ただし不当なものを省くにはどうすればいいかなど。議論はまるで頭脳のマッシュ アップをしているかのようでした。  今回の合同部会で最も重要な議題は目標の確認と役割分担のすりあわせでした。 これは最初の山場でもあり、大事な出発点とも言えます。XMLDB部会は既存コンテ ンツのXML化と各XMLDB製品の差違を吸収する共通インターフェースの規格を、そ してサイトが持つ機能の検討と開発をWeb2.0部会とWebサービス実証部会が担当す ることになりそうです。詳細は今後各部会で調整する必要がありますが、プロジェ クトは大きな一歩を踏み出しました。  このプロジェクトは構想立案と実証を目指していますが、活動の成果は、今後、 コンソーシアムの本サイトに反映することも考慮されています。活動への期待が 膨らみます。 ◆2008/2/6 XMLコンソーシアム 3部合同部会議事録  http://www.xmlconsortium.org/wg/web2.0/07/080206web20minute.html ===================================== 【活動実績:2008年2月】 ===================================== ◆2月 6日(水):XMLDB部会、Webサービス実証部会、Web2.0部会 ◆2月 6日(水):内部統制勉強会 ◆2月14日(木):運営委員会、理事会 ◆2月13日(水):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆2月29日(金):Webサービス実証部会、セキュリティ部会、Web2.0部会 ◆3月 3日(月):XMLDB部会 ◆3月 5日(水):『XML Today & Tomorrow』 ◆3月 5日(水):内部統制勉強会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆3月13日(木):運営委員会、理事会(NTTソフトウェア) ◆3月12日(水):クロスメディア・パブリッシング部会(会場調整中) ◆3月27日(木):BI研・SOA部会(日本ユニシス) ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント]  特になし ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆『XML Today & Tomorrow』の資料は追って公開いたします  3月5日に開催した『XML Today & Tomorrow』に大勢の方がつめかけてくださり、 誠にありがとうございます。当日使用されたプレゼンテーションは追ってXMLコン ソーシアムのWebサイトにて公開いたします。 ◆XMLコンソーシアムの部会活動が@ITに掲載されました  技術者向けのWebサイト@IT自分戦略研究所にて、5人のXMLコンソーシアムの部 会リーダーらが登場し、部会活動や部会を超えた活動を語らいました。ぜひご覧 ください。  @IT自分戦略研究所 「組織の枠を超えたコラボが魅力 XMLコンソーシアム」  http://jibun.atmarkit.co.jp/lcom01/rensai/comtan05/comtan01.html ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  勉強会テーマとなったXMLマスター:プロフェッショナル(データベース)試験 ですが、合格者第1号はXMLコンソーシアムでもいくつかの部会で活躍されている 方でした。XMLコンソーシアムの人材の厚さに改めて驚いてしまいます。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2008 The XML Consortium =====================================