===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2009年4月号(2009年4月13日発行) =====================================  先月e-Tax(国税電子申告・納税システム)に初めて挑戦しました。作成したデ ータを見てみると拡張子が「xtx」、電子署名の部分にXML署名のタグがあり、正 真正銘のXMLファイルとなっていました。「ここにもXMLが」と実感しました。  メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆XMLを語る:誕生から現在まで、XMLの軌跡を語る「XMLは共通基盤」 ◆部会探訪:クロスメディア・パブリッシング部会 ◆イベント予告:XMLコンソーシアム Week(5月12〜13日、19日〜20日) ◆活動実績(2009年3月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【XMLを語る】誕生から現在まで、XMLの軌跡を語る「XMLは共通基盤」 =====================================  本号からXMLとゆかりのある方々に過去のXMLとの関わり、またはXMLの現状や将 来展望などについて語っていただきます。初回はXMLの仕様設計に関わった村田真 氏(国際大学・フェロー)とXMLのパーサーを発表した丸山宏氏(日本IBM・執行 役員兼東京基礎研究所長)です。(文中、敬称略) ■スタートラインは「文書」と「メタデータ」 ○村田:私は最初のドラフトが出た(1996年11月)直後にXMLに出会い、すぐに翻 訳やコメント送信を始め、翌年夏にはワーキンググループに参加しました。当 時XMLはSGMLのサブセットを作成することを目的に掲げ、ジョン・ボサック氏が 中心となり活動していました。 ○丸山:ジョン・ボサック氏、なつかしいですね。当時、W3CはHTMLなどWeb関係 の技術開発をしていましたから、XMLをWebに載せたら面白いだろうと期待があっ たのでしょうね。Java、Webの登場で2つのピースが埋まり、最後のピースにXML がはまったら、ベンダー依存せず情報が自由に行き交うようになる。それは面 白いと期待が高まったのでしょう。SGMLの課題もいくつかは解決しますから。 ○村田:当時SGMLのサブセットを作る提案はほかにもありました。皆、SGMLには こりごりだったのです。SGMLで辛酸をなめた40代がXMLに着目していたので 「XMLは40代のリベンジ」という冷やかしもあったくらいです(笑)。 ○丸山:私は上司からの指令で「IBMに大事そうなものは何か?」を調べていまし た。97年ごろにはインターネットでプッシュ配信する「ポイントキャスト」が あり、マイクロソフトらがXMLに注目していました。今ならRSSですが。ここで メタデータの必要性を実感しました。 ○村田:プッシュ型配送にXMLを使おうという話で当時は盛り上がりましたね。 ○丸山:IBMならSGML経験者は多いのですが、意外とXML経験者がおらず、自分が やらなくてはと思いました。97年秋には最初のパーサーが出来上がったと記憶 しています。alphaWorksに掲載したのはXML勧告とほぼ同じタイミングでした。 (注:XML勧告は1998年2月) ○村田:そのころ私はひたすら勧告に向けて準備していましたよ。パーサーはど うでしたか? ○丸山:動くものを作ること自体はそんなに難しくないと思うのですが、XMLの仕 様に完全に準拠するプロセッサという意味では我々のものは飛びぬけて優れて いたと思います。 ○村田:文法のミスをエラーと検知するところが大事であり難しいのですよね。 ■本当は1ヶ月で1.1になるはずだったXML 1.0 ○丸山:XMLはいまだに1.0のままです。ITの世界でバージョンが変わらないのは 珍しいことだと思います。 ○村田:実を言うと、XML 1.0は1ヶ月の命だったんです。勧告直前に駆け込みの リクエストが殺到し、それを振り切るために「勧告が出てから1ヶ月後には1.1 を出すから」と言っていたのです。しかし勧告後には大きく注目を浴び、1.1を 出すどころではなくなってしまいました。 ○丸山:後から出たXML 1.1とは全く違うものですね。 ○村田:全く違います。しかしXML 1.0が出てから400くらいは正誤表を出しまし た。ものすごく細かく対応し、その努力たるや大変なものでした。いまだにバ ージョンは1.0のままですが、エディションなら5版まで出ています。 ○丸山:標準というのは長い間、多くの人に使われて価値が出ます。勧告といえ ば、勧告前後からアナリストらが「XMLはメタデータではなくデータそのもの」 と発言し、「これからEDIはXMLで実現する」という気勢が上がるようになりま した。 ○村田:そのあたりから爆発的に認知度が高まりました。勧告後には一通り取材 を受けましたよ。XMLの基本的なアーキテクチャなどを解説しました。 ※参考:http://www.w3.org/2000/Talks/1206-xml2k-tbl/slide10-0.html ■村田「汎用的なXML言語も」、丸山「XMLは共通基盤」 ○丸山:XMLが登場、普及し、いろいろと変わりました。Unicodeになったのは良 かったと思います。EDIもきれいになりました。かつてエンタープライズには複 雑なものが多かったですから。今ではソフトウェアのconfigrationファイルも XMLとなり、AJAXもベースはXMLですね。 ○村田:XMLでなくても動くのですが(笑)、オフィス文書、ブログ、Googleのサ ービスもXMLですね。当初XMLは専用のボキャブラリーなしでも使えるようにと 考えていましたが、実際には特定のものが多く使われています。 ○XMLコンソーシアム:多くのXML標準が登場しました。しかしいつかティム・ブ レイ氏が「これ以上新しいXML言語を開発するな」とブログで話していましたね。 ※http://www.tbray.org/ongoing/When/200x/2006/01/08/No-New-XML-Languages ○村田:SGMLの時代から似たような論争が続いているのです。SGMLからXMLになっ たことで技術的な改善点はありますが、本質的な難しさ、つまり運用面での困 難は変わりません。それでXMLが出た当時、私は悲観的だったのですけどね。 ○丸山:難点ももちろんありますが、ただ言えるのは「XMLでなかったら代わりに 何を使うか?」と考えた時、これに対する明確な答えはないですよね。 ○村田:そうですね。現状の普及具合はどうでしょう。まだ伸びる余地があると 思いますが。 ○丸山:現状ではシステム間連携が最大要素ですが、ほかはまだではないかと思 います。 ○村田:開発に携わった人間からすると、特定のXML言語だけではなく、汎用的な XML言語がより普及してもらいたいと願っています。時間を超えて50年後もデー タが読めることがXMLの良さでもありますから。あと「REST頑張れ」(笑)。 ○丸山:XMLはTCP/IPのようにIT基盤に組み込まれつつあります。XMLそのものの 是非を議論するような段階ではないと思います。すでにXMLは共通基盤になった ということだと思います。 ===================================== 【部会探訪】クロスメディア・パブリッシング部会 =====================================  クロスメディア・パブリッシング部会ではリーダーが交代になりました。新し いリーダーとなった田崎勇二氏(株式会社ビー・ユー・ジー)は「明るく、楽し い部会活動を続けていきたいと思います」と笑顔で抱負を話しています。  普段の部会参加者は10名ほど。部会活動日にサブグループ活動と全体会議を開 催しています。全体会議では毎回それぞれが近況を報告しあいます。主にXMLに関 する話題から仕事や業界のことなどで、貴重な情報交換の場となっています。  3月の全体部会に出た話題としては、Weekの役割分担、XMLガイドブック、DITA コンソーシアム、マーケティングSGがありました。Weekについては日程候補が提 示され、部会で発表する項目や登壇者、希望日などを調整しました。XMLガイドブッ クとはXMLコンソーシアムが横断的に執筆するもので、リーダー会に参加した人か ら全体像やスケジュールなどの説明があり、部会が担当できる範囲を相談してま とめました。  DITAコンソーシアムのDITA(Darwin Information Typing Architecture)とは、 ドキュメントのコンポーネント化とシステム化を志向する標準仕様で、2005年に OASIS標準となったものです。2009年2月に日本でDITAを推進させるコンソーシア ムが発足したところで、XMLコンソーシアムの中でも特にクロスメディア・パブリッ シング部会が活動内容として近そうなので組織発足の背景や今後の連携などにつ いて協議しました。  マーケSGでは新リーダーが選出され,新たな気分で日本印刷技術協会JAGATと 連携した交流会などを中心に活動していくことになりました。  技術系SGでは「拡大教科書」作成支援の検討が続いています。文科省から発信 された情報の共有や,拡大教科書について書かれた書籍の内容の紹介などがなさ れました。また,膠着状態から抜けるために,バリアフリー関連のイベントに積 極的に参加して情報収集・人脈作りをしようという方針も出されました。  部会の後は毎回懇親会へと場を移しますが、どの部会でも同じように、懇親会 の方がより活発に意見交換が進みます。部会の場では遠慮していた雑談が一気に 花開きます。雑談といっても拡大教科書や業界の動向など、けっこう部会活動と 関係ある話題で盛り上がるので懇親会も貴重な部会の一部と言えそうです。  今後はWeekの準備があるので、定例部会が変則的に開催となります。4月の定例 部会を4月14日(火)、5月分を4月22日(水)に開催する予定です。 ===================================== 【イベント予告】XMLコンソーシアム Week(5月12〜13日、19日〜20日) =====================================  XMLコンソーシアムは5月12日(火)と13日(水)、翌週の19日(火)と20日 (水)の4日間にわたりXMLコンソーシアム Weekを開催します。5月の連休明けす ぐ、2週にまたがっておりますのでお気を付けください。  毎年恒例となるこのXMLコンソーシアム Weekは活動の成果発表会となります。 各部会が熱心に進めてきた活動の集大成を披露いたします。また、基調講演は 早稲田大学大学院 客員教授の丸山不二夫先生にご講演いただきます。どうぞ ご期待ください。追って詳細をご案内いたします。 ◆スケジュール ○5月12日(火)  −基調講演  −特別講演 気象庁防災情報XMLフォーマット  −特別講演 EXI (Efficient XML Interchange)  −Webサービス実証部会  −セキュリティ部会 ○5月13日(水)  −Web2.0部会 ○5月19日(火)  −ビジネス・イノベーション研究部会  −SOA部会  −関西部会 ○5月20日(水)  −クロスメディアパブリッシング部会  −XMLDB部会  −パネル討論 ◆会場:日立システムアンドサービス 品川本社     http://www.hitachi-system.co.jp/j_profile/map_honsya.html ◆参加費:無料 ===================================== 【活動実績:2009年3月】 ===================================== ◆3月10日(火):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆3月12日(木):運営委員会 ◆3月18日(水):XMLDB部会 ◆3月18日(水):Web2.0部会 ◆3月18日(水):Webサービス実証部会 ◆3月18日(水):セキュリティ部会 ◆3月19日(木):BI研・SOA部会 ◆3月23日(月):関西部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆4月 9日(木):運営委員会 ◆4月14日(火):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆4月16日(木):BI研・SOA部会 ◆4月22日(水):クロスメディア・パブリッシング部会 ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆6月8日(月)〜12(金):Interop Tokyo 2009 (後援) ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆Weekと総会の準備をしています  XMLコンソーシアムWeekと総会の準備を進めています。Weekは5月12日〜13日と 19日〜20日の4日間(ともに火曜日と水曜日)で実施します。どの部会もWeekに向 けて精力的に準備を進めています。どうぞご期待ください。  総会は6月5日(金)です。詳細が決まり次第、ご案内をお送りいたします。 ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  東京では3月の中ごろに20度を越す陽気が続き、桜のつぼみが一気にふくらみま した。ところがその後に寒さが戻り、まさに花冷え。このころから筆者の花粉症 はぐっと楽になったのですが、聞くところ「スギが終わってヒノキに移った」と か。筆者はヒノキにはあまり反応しない体質のようです。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons_staff@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2009 The XML Consortium =====================================