===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2010年1月号(2010年1月12日発行) =====================================  謹んで年頭のご挨拶を申し上げます。  これまでの会員皆様のご支援、ご協力に対し心からの御礼を申し上げます  本年もご支援の程よろしくお願い申し上げます。  会員皆様のより一層のご健勝とご活躍を心より祈念いたします。 XMLコンソーシアム 会長 鶴保征城  メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆XMLを語る:「2010年革命でモノづくりからの脱却が始まる」 XMLコンソーシアム 会長 学校法人・専門学校 HAL東京 校長 鶴保 征城氏 ◆部会探訪:XMLDB部会(12月24日) ◆活動実績(2009年12月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【XMLを語る】「2010年革命でモノづくりからの脱却が始まる」 XMLコンソーシアム 会長 学校法人・専門学校 HAL東京 校長 鶴保 征城氏 =====================================  XMLとゆかりのある方々に過去のXMLとの関わり、またはXMLの現状や将来展望な どについて語っていただきます。今回はXMLコンソーシアム会長の鶴保征城氏です。 2009年から学校法人・専門学校 HAL東京の校長も務めています。IT業界の情勢や 展望などを語っていただきました。(文中、敬称略) ○XMLコンソーシアム:昨今の経済状況はいまだに険しい状況です。 ○鶴保:そうですね。日本政府もデフレを認め、経済はシュリンクしてきていま す。成長のきっかけを見いださないと、海外からの投資も減ってしまいます。 海外の投資家からは「日本では投資がしにくい」という話を聞くことがありま す。規制が多いゆえに、投資がBRICsなどに流れてしまうのは残念なことです。 日本は一億人の人口があり、自然も伝統も豊富で魅力があるはずです。「おも てなし」に見られるサービス精神など優れたところもたくさんあります。時代 や環境の変化に柔軟に対応し、日本が得意であるモノづくりだけにとらわれず、 総合的な施策を考える必要があるのではないでしょうか。 ○XMLコンソーシアム:2009年からHAL東京に移られてどうですか? ○鶴保:若い学生が狭い意味のITだけでなく、ゲーム、グラフィックス、ミュー ジック、カーデザインなど、広い意味のITのプロを目指しています。学生には、 技術だけでなく社会や文化の仕組みをよく理解するように言っています。たと えば、「人口ピラミッドを意識するように」と話しています。というのは、か つて日本の人口ピラミッドは、すそ野が広いピラミッド形をしていました。し かし今では根元(年少者)が細くなり、団塊の世代や高年齢者が突出するつぼ のような形をしています。将来、人口ピラミッドはますます根元が細くなると 予測されています。 従来、ゲームは主に若い年代層を相手にするビジネスでしたが、日本のその層 の人口は年々減っています。成功するには人口の多い層をターゲットにするか、 年少者の多い海外に進出しなくてはならないと言っています。ゲーム業界へ進 むならそうした認識や覚悟が必要です。 ○XMLコンソーシアム:2010年はどんな年になるでしょうか? ○鶴保:私は2010年革命が起きると思っています。日本で最も人口の多い団塊の 世代は1947年から数年以内に生まれています。その世代が定年を迎えるという ことで「2007年問題」が指摘されていましたが、皆すぐには引退せず引き続き 働く人もいました。しかし、2010年を皮切りにいよいよ団塊の世代が、ほぼ全 員職場から消えていくことになります。 団塊の世代は戦後日本の社会をリードしてきました。彼らはそこそこお金があ り、モノも十分に所有しています。その彼らが次はあり余る時間を手にします。 これからどのような行動をとるのか、社会的に大きなインパクトを与えること になるのではないかと思うのです。 ○XMLコンソーシアム:大量消費の先の世界ですね。 ○鶴保:1970年ごろアメリカの社会学者ダニエル・ベルが脱工業化社会を唱えま した。大量生産・大量消費の工業化を経た社会がさらに発展し、情報やサービ スなどの第三次産業の占める割合が高まる社会を指し、知識社会などと呼ばれ たりしました。 アメリカは脱工業化ビジネスモデルの先頭を進んでいました。行き過ぎた金融 ビジネスという「鬼っ子」も生み出してしまったのですが、Googleをはじめと する革新的なビジネスモデルも生みました。ここではIT技術が極めて重要な役 割を果たしています。 日本は行き過ぎた金融ビジネスに手を出すことはなかったのですが、Googleの ようなビジネスモデルもまだ生み出していません。工業製品の生産だけでは21 世紀の世界を生き抜くことはできません。モノづくりは今後も重要ですが、同 時に、魅力あるビジネスモデルを生み出す必要があります。アニメやアキバの ようなサブカルチャーも魅力的ではありますが、特殊過ぎるところがあります ね。モノづくりとアキバの間で日本の中核となるような魅力あるサービスを生 まなくてはなりません。 ○XMLコンソーシアム:日本発の斬新なサービスが生まれるといいですね。 ○鶴保:ベンチャー支援の場にも顔を出していますが、ベンチャーや大企業の方 も、普段から視野や人脈を広げる努力が必要ですね。日本は携帯など小さくて 精巧なものを深堀するのは得意ですが 、総合的な視点を持ち、企業や技術を横 通して新しいものを生み出すのが得意ではないですね。日本では投資する前か ら「○○に勝てるか?」と既存の競合製品と比較し、確実な見込みがなければ 投資しませんが、海外ではそうとは限りません。投資の判断基準が違います。 一方で、税制など投資されやすい環境作りも必要です。 ○XMLコンソーシアム:ITの役割はどうなっていくでしょうか。 ○鶴保:これまでITは主に個々の企業で、生産性向上のツールとして使われるも のという感覚でした。しかし、新しいビジネスモデルの構築や社会全体の仕組 みとして使われるようになれば、ITの重要性はますます高まると思います。 このためには、信頼性を一層高めていく必要があります。医療システムのよう に人命にかかわる場合、金融システムでは正常に稼働しなければ多額の損失を 生む場合があるなど、社会のインフラとして重要な位置を占めるようになった と認識しなくてはなりません。 ○XMLコンソーシアム:今後XMLコンソーシアムに期待することは? ○鶴保:企業は利益を追求しなくてはならない存在です。新技術を追求したくて も、社内的な事情が優先してできないこともあるでしょう。しかし、新技術を 取り入れず旧態依然のままでは将来の発展は見込めなくなります。いわゆる合 成の誤謬、ミクロの視点では正しくてもマクロの視点では正しくないという状 態が起き得ます。そこで個々の技術者が自律的に活動し、新しい技術を追求す るコンソーシアム活動が重要になります。 全体を見渡せる視点を持ち、業界団体的な立場で行動できるXMLコンソーシアム のような存在は大変重要だと思います。 ===================================== 【部会探訪】XMLDB部会(12月24日) =====================================  XMLDB部会はXMLDB(XMLデータベース)に関する製品、利用事例、加えてXQuery などXMLDB利用技術を調査し、情報を共有しています。12月24日の部会では前半に 新しいXMLDB製品の紹介、後半にDITA入門とDITAエディタの使用方法の説明を行い ました。  新しいXMLDBとは、富士ソフトが12月21日から販売開始した組み込み向けネイティ ブXMLDB「MISSION」です。アメリカでカーナビ向けに研究された技術がもとになっ ている製品で、HDDレコーダー、携帯音楽プレーヤー、スマートフォンなどの利用 を想定しています。  組み込み向けのデータベース製品でありながら、XMLデータをそのまま扱えるネイ ティブXMLDBは比較的珍しい存在です。背景にはWebコンテンツ配信のRDF、デジタ ル放送の番組情報のBML、パソコンと携帯電話間でのデータ同期のSyncML、ベクタ ー画像のSVGなど組み込み機器でもXML形式のデータが普及してきていることが挙 げられます。  同社は性能について「RDBと遜色のないパフォーマンス、メモリ使用量の少なさ」 をアピールしています。また技術的にはデータのアクセスにAPIコールを使用し、 XQueryやXPathは非採用となっており、XMLDBにしてはやや異色です。XQueryや XPathの必要性に関する議論はあるそうですが、現時点では組み込みのエンジニア からはAPIでアクセスしたいという要望が高く、XQueryやXPathはさほど関心が 高くないのだそうです。  長年XMLDBを研究してきた部会メンバーにとって、久しぶりに新しいネイティブ XMLDBが登場したことは改めて新鮮な刺激を与えるきっかけとなったようです。  後半はDITA入門とDITAエディタの使用方法の説明でした。部会ではXMLコンソー シアム活動の集大成となるガイドブックの執筆に取りかかるところですが、これ をDITA形式で作成し、その執筆にはxfy DITAエディタを使うことにしたのでDITA のトピック・ライティングの考え方と、ツールの使用方法のガイダンスを行いま した。  xfy DITAエディタでは、優しいGUIからDITA準拠のコンテンツを編集することが できます。ユーザーはメニューから基本構造の要素を選び、その内容を記述して いけばいいのです。xfy DITAエディタでは文法上、適切な位置にタグをつけられ るように、カーソルの位置により挿入可能なタグ候補が画面右にナビゲートされ ますので、DITAの専門知識がなくても、正確なDITAコンテンツが作成、編集でき ます。  執筆者には、xfy DITAエディタが貸し出されました。この後メンバー内で分担 方法などを確認し、執筆に取りかかる準備がほぼ整いました。 ===================================== 【活動実績:2009年12月】 ===================================== ◆2009年12月 4日(金):Webサービス実証部会 ◆2009年12月 7日(月):関西部会 ◆2009年12月 9日(水):次世代Web活用部会 ◆2009年12月17日(木):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆2009年12月17日(木):BI研、SOA部会 ◆2009年12月17日(木):第4回XML設計技術講座  『設計作業を効率化する便利な道具 〜パターンを使ってみよう〜』 ◆2009年12月18日(金):セキュリティ部会 ◆2009年12月18日(金):Webサービス実証部会 ◆2009年12月21日(月):関西部会 ◆2009年12月24日(木):XMLDB部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆2010年1月13日(水):Webサービス実証部会 ◆2010年2月 3日(水)  XMLマスター:プロフェッショナル(データベース)直前対策セミナー  http://www.xmlconsortium.org/seminar09/100203/100203-info.html ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] (メディア・パートナーである翔泳社様からご案内いただきました) ┏━<Developers Summit 2010>━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃  技術者コミュニティとの連携から生まれた総合ITコンファレンス ┃ ┃  2010年2月18日(木)・19日(金) 会場:目黒雅叙園   ┃ ┃  主催:株式会社翔泳社       参加料:無料(事前登録制) ┃ ┗━◆最新情報・参加登録はコチラ◆ ⇒ http://codezine.jp/devsumi/2010 ━┛ ◆2010年2月18日(木)〜19日(金)  Developers Summit 2010(オフィシャルコミュニティ)  http://codezine.jp/devsumi/2010/ ◆2010年3月10日(水)〜11日(木):ソフトウェアジャパン2010(協賛)  http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/forum/software-j2010/index.html ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  新年の過ごし方も毎年少しずつ変化しているような気がします。おせちやお雑 煮にバリエーションが出てきたり、全く違うものを食べることもあります。形は 変わっても、新年を大切な人たちと一緒に祝うことは続けたいなと思いました。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons_staff@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2009 The XML Consortium =====================================