===================================== XML Consortium News X M L コ ン ソ ー シ ア ム ニ ュ ー ス 2010年3月号(2010年3月9日発行) =====================================  オリンピックではさまざまなドラマがあり、選手たちの奮闘ぶりに心が動かさ れました。見損ねたフィギュアの演技をYouTubeで探したら、広告欄からBGMが購 入できるようになっていました。コンテンツパートナーの動画で可能だそうです。 無料の動画からBGMを購入、興味深い仕組みですね。  メールマガジンの配信先については末尾の案内をご覧ください。 ===================================== 【目次】 ===================================== ◆XMLを語る:「防災情報の利活用に向けて」気象庁 長田泰典氏 杉山善昭氏 ◆予告:XMLコンソーシアムWeek 3月10〜11日、16〜18日 ◆予告:XMLコンソーシアム総会 3月26日 ◆活動実績(2010年2月) ◆今後の予定 ◆運営委員会から ===================================== 【XMLを語る】「防災情報の利活用に向けて」気象庁 長田泰典氏 杉山善昭氏 =====================================  XMLとゆかりのある方々に過去のXMLとの関わり、またはXMLの現状や将来展望な どについて語っていただきます。今回は気象庁 総務部企画課 企画係長 長田泰典 氏と技術開発調整係長 杉山善昭氏です。天気予報から防災情報XMLフォーマット などを語ってくださいました。(文中、敬称略) ○XMLコンソーシアム:気象庁というと天気予報がなじみ深いですね。 ○長田:気象庁は国土交通省の外局であり、日本全土の気象状況および地震・火 山の状況を常に観測、監視しています。観測したデータをもとに天気予報をは じめとする気象情報のほかに緊急地震速報、津波警報、噴火警報、季節予報、 温暖化情報といった情報も提供しています。ずっと自然を相手にしている役所 です。 さかのぼると明治5年に日本初の気象観測所が北海道に開設され、明治17年6月1 日から天気予報の発表が開始されました。最初の天気予報は「全国一般風ノ向 キハ定リナシ天気ハ変リ易シ 但シ雨天勝チ」というものでした。 近年では技術が進歩し、提供する情報は地域で細分化され密度が高まり、種類 も増えて情報量が格段に増えました。ただし気象庁の仕事はこうした情報を発 表したところで終わりではなく、受け手となる国民に活用してもらわないと意 味がありません。常にニーズを考えています。 ○XMLコンソーシアム:気象庁の一番のミッションはなんでしょう? ○長田:重大な災害が起こるおそれを警告する「警報」 は国の防災機関である気 象庁のみが発表できるようになっています。 防災情報は国民の安全、安心を守る大切な情報です。例えば緊急地震速報で身 の安全の確保をしてもらうなど、情報を受け取った国民が適切な防災行動をと れるように務めるのが気象庁の大きなミッションの1つです。 現在、大雨等の警報・注意報は「東京23区東部」など複数の市区町村をまとめ て発表しているため「切迫感が伝わりにくい」という懸念がありますが、2010 年5月をめどに市区町村単位ごとに発表する予定です。374区分から、約1780区 分へと大幅に細分化されます。より的確に情報を届けられるようになると期待 しています。 ○XMLコンソーシアム:防災情報が一般の人に伝わるまでの流れは? ○長田:防災関係省庁や地方自治体、あるいはテレビやラジオなど報道機関経由 で情報が伝わるようになっています。こうしたデータの形式ですが、アメダス や気象レーダーなどはバイナリ形式、気象警報や津波警報はテキスト形式です。 テキスト形式のデータは情報の種類ごとにフォーマットがあり、データの並び や位置が変わるたびに受け手のシステムにも対応をしてもらわなくてはならな い状況です。 ○XMLコンソーシアム:今後はどうなっていくのでしょうか? ○長田:テキスト形式で送信していたデータを共通のXML形式「気象庁防災情報 XMLフォーマット」へ移行します。フォーマット作成にあたってはXMLコンソー シアムから主として技術的な助言をいただきながら、気象庁自身が行いました。 XMLにするとテキストから移行するとき、気象庁だけではなく受け手側にもある 程度のシステム対応が必要となりますが、運用フェーズに入れば改変の労力が 少なくてすみますし、データの識別が確実にできるようになります。多様なデ バイスでの利用も期待できます。 ○XMLコンソーシアム:XMLに着目したのはいつごろですか? ○杉山:XMLフォーマットについて2004年ごろから検討はしていたのですが、XML コンソーシアムに相談したのが2007年春ですね。これまでも気象庁はネットワ ークのプロトコルで試行錯誤した経験などがあるので、永続的に使える技術で ある必要がありました。こちらでデータ形式を策定しても、地方自治体やメディ アが運用するまでには数年かかります。5年後に廃れてしまう技術では困るとい うような懸念も抱えていました。 今ではあらゆる省庁でXMLが普及しつつあります。そういう意味ではXMLを選定 した方向性は間違っていなかったと感じています。 ○XMLコンソーシアム:フォーマット策定で苦労したことなどありましたか? ○長田:気象庁は技術者集団で、システム開発やデータ形式策定に携わってきま した。これまでの経験がデータ形式策定に役立ちました。また情報の特性を熟 知した現場の人間がデータ形式を策定できたこともよかったです。 ○杉山:苦労したのは共通化のためのすりあわせです。これまで情報や分野ごと に最適化された形式となっていましたが、共通化のために統一した形式にしな くてはなりませんでした。 例えば時間です。どれも時間の情報が入りますが、火山ですとおおまかな日時 でいいのですが、地震ですとミリ秒まで細かく伝えなくてはなりません。それ を共通の要素にするために、属性で時間のスケールが分かるようにしました。 ○XMLコンソーシアム:実用化へのスケジュールは? ○長田:2009年5月に気象庁防災情報XMLフォーマット Ver.1.0の仕様を発表しま した。まずは2010年5月下旬に気象警報や注意報からXMLでも発信し(従来のも のと並行して)、徐々にほかの情報もXML化を進めます。2013年ごろにはXML化 が行き渡るのを目標としています。 防災情報がきちんと活用され、また高度化していくためにはXML化は欠かせない と感じています。現在はフォーマットを策定したところで、スタートラインに 立ったところです。今後はまず従来のデータ形式をXMLへ移行すること、次に高 度な利活用へと発展させたいと思っています。 ===================================== 【予告】XMLコンソーシアムWeek 3月10〜11日、16〜18日 =====================================  XMLコンソーシアムWeekを3月10〜11日、16〜18日の5日間の日程で開催いたしま す。今回は「社会とビジネスの明日を支えるXML」をテーマに、各部会の成果報告 を行います。  基調講演には慶應義塾大学名誉教授であり W3C の Associate Chair for Asia も務められる斎藤信男先生に御登壇いただけることとなりました。デモやパネル も豊富に用意しております。 ◆第9回XMLコンソーシアムWeek開催のご案内  http://www.xmlconsortium.org/seminar09/100310-11+16-18/100310-11+16-18-info.html ○3月10日(水) 会場:日立ソフト(品川シーサイド)  13:00-14:00 基調講演  「IT、ネットの技術は今後10年、社会とビジネスにどのようにインパクトを   与えるか」   斎藤 信男様 慶應義塾大学名誉教授 W3C Associate Chair for Asia  14:10-17:10 次世代Web活用部会 ○3月11日(木) 会場:日立ソフト(品川シーサイド)  13:00-14:00 招待講演  「XMLが障害児教育を救う〜拡大教科書の問題を中心に〜」   宇野 和博様 筑波大学付属視覚特別支援学校教諭  14:10-15:40 クロスメディアパブリッシング部会  15:50-18:20 XMLDB部会  16:40-18:20 第2回XMLDBベンダーパネルディスカッション ○3月16日(火) 会場:日本IBM(箱崎)  13:00-14:00 セキュリティ部会  14:10-15:40 XML設計技術部会  15:50-16:50 招待講演  「サービスの価値を相互運用する技術」   産業技術総合研究所 社会知能技術ラボ長 橋田 浩一様  17:00-18:30 全体パネル「社会とビジネスの明日を支えるXML」  パネリスト(50音順):   小川豊様(日本ユニシス執行役員、本会理事)   新誠一様(製造業XML推進協議会運営委員長)   橋田浩一様(産業技術総合研究所)   村上敬亮様(経済産業省 地球環境対策室長)   山本修一郎様(名古屋大学教授、前本会理事)   和田芳明様(日本銀行、XBRL International理事)  モデレータ:   和泉 憲明様(産業技術総合研究所) ○3月17日(水) 会場:日本IBM(箱崎)  13:00-14:00 気象庁防災情報XMLを使った実証実験  14:10-16:50 ビジネス・イノベーション研究部会/SOA部会  17:00-18:00 全体デモ ○3月18日(木) 会場:日本IBM(箱崎)  13:00-13:30 全体デモ  13:40-14:40 関西部会  14:50-15:20 次世代Web活用部会  15:30-17:00 Webサービス実証部会  17:10-18:40 ミニパネル  皆様のふるってのご参加をお待ち申し上げております。 ===================================== 【予告】XMLコンソーシアム総会 3月26日 =====================================  第10回XMLコンソーシアム総会を3月26日(金)に開催することになりました。  すでにご案内の通り、XMLコンソーシアムは本総会をもって活動の終了を予定し ており、次の活動へ船出する節目の重要な会議となります。本総会の中であわせて、 先にご案内しました「XMLコンソーシアム コミュニティ」の設立総会も開催いた します。 日時:2010年3月26日(金)    14:30−18:30 第10回総会、総会記念パネルディスカッション    18:45−21:00 懇親会 会場:日立ソフトウェアエンジニアリング(株)     りんかい線・品川シーサイド駅より徒歩1分     京浜急行線 ・青物横丁駅より徒歩8分     http://www.hitachisoft.jp/Company/map_honsha.html  [総 会]日立ソフトタワーA 4F 講堂  [懇親会]日立ソフトタワーA 13F 会場 入館方法:日立ソフトタワー 1F 専用受付にお越しください。  各会場は、備え付けの案内版をご覧ください。 参加費:  [総 会]無料  [懇親会]3000円  ご多忙の折とは存じますが、万障お繰り合わせの上、ご臨席いただけますよう お願い申しあげます。 ===================================== 【活動実績:2010年2月】 ===================================== ◆2月15日(月):関西部会 ◆2月17日(水):Webサービス実証部会 ◆2月23日(火):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆2月24日(水):BI研、SOA部会 ◆3月 1日(月):関西部会 ◆3月 3日(水):BI研、SOA部会 ===================================== 【今後の予定】 ===================================== [公式イベント] ◆3月15日(月):クロスメディア・パブリッシング部会 ◆3月10〜11日、16〜18日:XMLコンソーシアムWeek  http://www.xmlconsortium.org/seminar09/100310-11+16-18/100310-11+16-18-info.html ◆3月26日(金):XMLコンソーシアム総会 ※詳細はコンソーシアムや部会からの案内をご確認ください [関連イベント] ◆2010年3月9日(火)〜11日(木):ソフトウェアジャパン2010(協賛)  http://www.ipsj.or.jp/10jigyo/forum/software-j2010/index.html ===================================== 【運営委員会から】 ===================================== ◆ポストXMLコンソーシアム構想のご案内をお送りしました  XMLコンソーシアムは3月末をもって発展的解散の予定です。3月5日会員の皆様 のインフォメーション宛に「ポストXMLコンソーシアム構想のご案内」をお送りし ました。  解散後は以下の3つに分かれてXMLコンソーシアム活動を継承する計画です。 ・XMLコンソーシアム コミュニティ ・先端IT活用推進コンソーシアム(仮称) ・JAGAT(日本印刷技術協会)へのクロスメディア・パブリッシング部会活動の移動  詳細はお送りしたご案内をご覧ください。  なお「XMLコンソーシアム コミュニティ」の設立総会を2010年3月26日(金)、 第10回XMLコンソーシアム総会にあわせて開催を計画しております。 ◆メルマガの感想をお聞かせください  XMLコンソーシアムでは、皆さんへの広報手段としてメルマガをより一層活用し ていきたいと考えております。メルマガに関しまして、ご感想/ご要望等がござい ましたら、ぜひお寄せください。 ===================================== 【編集後記】 =====================================  ここのところTwitterでたまに「クロスメディア」という言葉をみかけます。ク ロスメディアパブリッシング部会の「クロスメディア」ではなく、メディア(報 道機関)のクロスオーナーシップのことをそう呼ぶのだとか。ずいぶん違う話な のに、同じ呼称なのでなんだか紛らわしいなと思いつつ大事な話なので静観して います。 ===================================== 【このメールマガジンについて】 ===================================== なお、当メールマガジンはXMLコンソーシアム会員を対象に発行しております。 転送する場合は社内に限定するなど、ご配慮をお願いいたします。 次回以降の配信先の変更や追加、および要望はXMLコンソーシアム事務局まで ご連絡ください。 発行人:鶴保征城 編集人:加山恵美 XMLコンソーシアム:http://www.xmlconsortium.org/ 事務局宛てメール :mailto:xmlcons_staff@fsi.co.jp 〒130-0022 東京都墨田区江東橋 2-19-7 富士ソフトビル Tel:03-5600-6205 / Fax:03-5600-6431 Copyright(C) 2010 The XML Consortium =====================================