XML をベースとする国際電子商取引の標準化動向、ロゼッタネットやebXMLとWebサービス
沖電気工業株式会社 技術情報ソリューション部
シニアコンサルタント 藤岡慎弥
XMLをめぐる具体的な近未来のイメージをまとめてみると、下記のコマース・ゲートウエイの進化によるネット環境の激変と各種サービスが期待されます。その結果、下記のネットワークインフラが整備され、XMLを中核とするユビキタスネットワークとE-コマースの仕組みが実現されることが予想できます。
- TVゲートウエイ(WebTVへのSMILや2000年12月開始のBSデジタル放送へのBML等のXML応用規格の活用)
- コンビニ・ゲートウエイ(キオスク端末と決済へのXMLを活用したビリングシステム)
- モバイルゲートウエイ(WAPやXHTML Basicによるi-mode、ijava端末とSSL、ブロードバンド化によるマルチメデイア対応や無線LANのBluetoothモデム処理によるユビキタス・ネットワーク)
- カーゲートウエイ(VoiceXMLを活用したカーナビやカーTVとMPEG4も含む交通情報の連動、ITSとICカードによる自動料金徴収)
デジタル衛星通信やADSLや光ファイバー網によるブロードバンドゲートウエイがCATVだけでなくBS&CSデジタル放送でデータ放送やインターネットサービスの拡大、ネットビジネスのインフラとして注目されます。そこで活用されるXMLの各種規格との関連を図にまとめるとXMLを中心とするユビキタスネットワークととB2CやB2BのE−コマースのイメージが描けます。
グローバル情報基盤(GII)委員会のRussellPipe氏の講演によれば、米国の現状(2001年度11月時点)は下記のとおり。
B2C
- 2000年で約300億ドルの規模、2001年は10%増加見込み、個客革命への導火線CRMが重要。
- テロのおかげでオンライン決済が20%も増加
- オンラインショッピングも昨年11月の前年度比で10%
- クリスマス商戦はどうなるか、2000年は注文を受けすぎて納期に間に合わないという問題があった。実際にはやはり2001年9月11日の影響で危険回避のため、インターネット・ショッピングが増加
B2B
- さりとて全E-コマース売上の9割はB2Bの企業間取引です。ロゼッタネットや一部の標準化活動を除いて、ITバブルの崩壊で大部分のeMarketplaceや各企業のEC実現の努力は押しつぶされてしまいましたが、いわゆる企業間B2BのE−コマースのための中小企業を巻き込んだ国際電子商取引の標準化活動であるロゼッタネットもebXMLもますます盛んになっています。
中国、韓国の脅威(2001年11月時点)
中国はどこまで進んでいるか。
最近、田中元外相が中国訪問の結果、10年前とは様変わりであることがテレビでも放映されていましたが、同じく、RussellPipe氏によると下記の事実が見られます。
- 中国では1億5千万人がすでにM-コマースで携帯電話を活用
- CATVによるT-コマースも8000万世帯で利用
ほんとに韓国も言われているほど進んでいないか。
日本国内の事情しかわからない人はアジアの脅威を説明してもほんとうにそうなのか。信じられないと言われます。しかし、日本では2002年の5月22日現在、ようやく日本全体で44%(約5500万人)のインターネット人口、家庭での普及率も60%だが、これも同氏の報告によれば、下記のとおりです。
- 4500万人の人口の中、すでに3000万人以上がインターネット人口
- 韓国全体のインターネットの普及率は74.1%
- 家庭でのインターネット利用率は、700万世帯以上で53.8%
- ブロードバンド高速インターネットの普及は政府のおかげ
- 280万社の中小企業のうち、見込みのある3万社に助成金が出て、E-ビジネスのためのデジタル化・高速インターネット環境構築支援
この図2に示したようにインターネットを活用した国際電子商取引の標準化を進めてきたコマースネットのタスクフォースとして、OBI標準を参照基準とする電子機器業界のSCMを構築するロゼッタネット活動が立ち上がり、その後、コマースネットが提唱したeCoフレームワークはUN/CEFACTとOASIが共同設立した国際電子商取引標準化活動としてのebXMLのアーキテクチャーのたたき台として取り込まれ、メッセージ交換仕様やレジストリ&レポジトリ仕様の標準が策定され、引き続き、コアコポーネントや汎用ビジネス言語(UBL)の検討が継続されています。平行して実装技術として利用可能なWebサービスの技術もマイクロソフト、SUN、HP、IBMなどの各社で検討され、E-speak、.NETフレームワーク、SunONE等と各社の開発ツールや実例が次々と紹介されるようになってきています。
さきに述べたさまざまなBtoB領域の団体の主要な一覧をまとめるとこの他にもいろいろありますが、下記の図3のようになります。
ebXMLのようにフレームワークなどのインフラ中心に汎用的な標準化を進める団体もあれば、流通や製造といった業界ごとの業務の標準も含めて検討する団体もあります。
最近はロゼッタネットやebXMLあるいはすでに欧米では一段落しつつある企業統合によるシステム統合のEAIの機能としての実装技術の有望な候補の一つとして「Webサービス」が脚光をあびております。 「Webサービス」とは、インタネット上のさまざまなシステムを共通のプロトコルを介して、Webサービスの部品化でダイナミックに連携させることにより、必要な処理を柔軟に組み合わせて行えるサービスです。
ロゼッタネットもこの「Webサービス」との連携を視野に入れて、標準化作業をすすめております。
XMLは世界でデファクトになってきておりますが、実は専門分野ごとにさまざまな業界、団体があって、それぞれにグローバルの標準化をめざしています。
その中にあって、中小企業を巻き込んだ国際電子商取引ではebXMLがフレームワークとしてスタンダードになりつつあります。
ロゼッタネットは先ほどご説明したようにグローバルかつスタンダードと言われるものを採用しながら、電子機器業界を中心に電子商取引の標準化を進める団体です。 そのため、ebXMLとも連携して活動を行っています。
また、ebXMLがフレームワーク作りのための活動であり、業種業界ごとの細かな業務にまで踏み込んだ標準化は、行いません。抽象的なコアコンポーネントや業界にまたがり共通的なことや基本アーキテクチャーのメッセージ交換仕様などは決めていますが、各業界に特有のビジネスプロセスやメッセージに使用される辞書の標準化はドメインコンポーネントとして、各業界の標準化活動が必要となります。
したがって、ebXMLがロゼッタネットのようなハイテク業界を中心として標準化されたドメインコンポーネントと連携をすることがBtoBのグローバル化を加速することになると考えられています。
ロゼッタネットBasics更新&Express
実は大企業同士のロゼッタネットによる接続が一段落して従来の専用VAN/EDIと同じく中小企業を接続するには敷居が高かったB2Bサーバーの導入問題を解決するために中小企業も導入できるようなロゼッタネット推進の代替案「ロゼッタネットBasics」が提案され、アジアでは「ロゼッタネットBasics更新&Express」として、その実装が進展しています。その実装事例として台湾のMiTAC INTERNATINAL CORPの例があります。
ロゼッタネットExpress(RNX)実装事例
MiTACビジネスモデルとしてはUSA、ヨーロッパ、アジアの連携によるBTO/CTO/直接出荷支援を実現しています。MiTAC のRNXでの役割は15のIT企業の代表を務めています。
台湾政府の助成金によるB計画のためのMiTAC のゴールは次のとおりです。
- すでにWebEIで310サプライヤ、専用VAN/EDIで110社のサプライヤとビジネスをやっていたがこれをB計画で、2001年度中に12―20社がロゼッタネット対応、残り約400社はWebベースでセミロゼッタネット対応を検討(人件費が1/10以下の中国本土の中小企業を含む)
- RNX実装のMiTAC の経験ではPIPのメッセージガイドラインなどの解釈がパートナーによって異なるところがあるのでその調整
- 提案としてBasics利用勧告やプログラム開発基準の作成と見直し、各国事情の反映、ロゼッタネットBasic(RNB)やロゼッタネットExpress(RNX)と日本における注文管理(OMJ)のマイルストーンプログラムとのグローバル統合整理
従来、ロゼタネットはリニアなSCMの構築から開始しているが、最近ではその活動も変貌を遂げており、CISCOの提案したeHUB改め、InformationHUBを意味するiHUB構想も実現しようと頑張っています。
iHub シナリオ例
ある中核となる企業が取引当事者間のネットワークかHUBを構築し、部品納入業者との自動受発注在庫管理、物流、決済業者まですべて直接に情報の交換ができる仕組みをWebサービスの技術も活用しながら構築しようとしています。
ハイテク産業供給連鎖の中期予測
RosettaNetではOBIのインターネット取引標準やW3CのXML標準を採用して電子商取引の標準化を進めてきましたが、トランスポート、ルーテイング、パッケージング(TRP)の標準については当初、SOAPやebXMLもありませんでしたので独自の標準としてRNIF1.1で実装を進め、RNIF2.0では改良を加え、SMTPやS/MIMEも取り込み、ロゼッタネットのビジネスオブジェクトをペイロードとしてメッセージ交換できる仕様を定め、実装ならびに実稼動を開始しています。しかし、UDDIがデファクトとしてUDDI.orgで提案され、ebXMLのメッセージ交換標準が2001年5月に提唱されメッセージ交換の標準仕様が固まったので、さっそくUDDIのデファクト標準やe bXMLの国際標準に策定されたメッセージ交換仕様から近い将来、準拠することを宣言しています。さらに下記図 7 「ロゼッタネット標準融合の展望」にあるように積極的に既存の各種XML標準やEDI標準を整理し、融合を進めています。
ロゼッタネットはコマースネットのタスクフォースとしてその活動を始めましたが、その生みの親でもあるコマースネットではeCoフレームワークという活動で相互運用性を実現するための7階層のアーキテクチャーを策定してebXMLにも提唱していましたが、ロゼッタネットではそれを9階層のアーキテクチャーとして発展させ、各種標準を取り込み融合を図っています。
ロゼッタネットのPIP2A9では製品情報の照会応答の標準を定め、自分の必要としている製品がどの取引パートナーが扱っているのかを発見するために業界横断検索を実現するために、もともとグローバルなレジストリを使うことを前提に開発していました。すでに2001年4月に、アナハイムで行われたロゼッタネットのパートナーコンファレンスで、すでにUDDIの活用やWebサービスの技術の実装も検討されています。その後、引き続きINTELを中心に検討されている資料によると、下記の図8のように活用されることが考えられます。つまり、RosettaNet.orgで開発された各種標準がレポジトリに登録されていますが、そのレジストリをUDDIビジネスレジストリにロゼッタネットが会員サービスの一つとして登録しておくとサービス発見ビジネスがWebサービスホステイングにサービスの呼び出しをかけ、メッセージの発行や発見後、メッセージの詳細情報を参照したユーザーがUDDI経由で各種サービスをバインデイングして目的のサービス機能を実現できることを目指しています。
UDDIには何があるか?
UDDIとは電話帳のようなものでデイレクトリサービスを実現し、各ビジネスのサービスタイプと自分自身の情報と一緒に登録し、公開するものです。
サービスタイプの “風味”
UDDIに登録されるサービスタイプとはいったいどんなものかを味わうためにその風味を紹介すると下記の要素から構成されています。
_ バインデイングテンプレート(Binding Templates) |
- これは技術的インターフェースです。 |
_ 範疇要素(Category Elements) |
- 分類のタイプ (NAICS, UNSPSC, SIC, etc.) |
_ 識別子要素(Identifier Elements) |
- 分類のタイプ (e.g., DUNS 番号 あるいはトーマス ID、 あるいは 米国税務サービスIRS番号) |
_ ビジネス関連性 |
- 関連のタイプ (e.g., ビジネスパートナーもしくは所有会社、もしくはフランチャイズ) |
_ 住所要素 |
- 住所の組織的構造のタイプ (e.g., 北米の住所はドイツの住所とは構造的に異なる) |
何故 UDDIに登録するか
それは可視性の一言に尽きます。メンバー会社が自分の会社が自分のサービスを発行しやすくするためにUDDIに登録します。逆にサービスをメンバー会社が探しやすくするためにレジストリに登録するともいえます。そうするとRosettaNet*ベース取引の高速実施の強化になります。
UDDIに登録されたRosettaNet*サービスを何が維持するか?
各種サービスや“標準” サービスタイプ (御承知の tModels)がUDDIに登録され、ビジネスエンテイテイとしてRosettaNet*.Org ではその登録のためのレポジトリが構築されます。
次に来るものは何か?
いろいろなサービスが登録されると、UDDIに登録されたサービスタイプを参照するサービスや与信サービスや登録代行サービスが必要となってきます。
UDDI レジストラサービス
Webサービス記述言語であるWSDLで各種サービスタイプを登録するといってもサービスを登録したり、サービスを探す一般の企業にとっては、下記のさまざまな問題があります。
- 技術的な専門知識の不足
- 新しい技術のための予算の不足
- サービスに関する詳しい知識の欠如
- 登録情報の一貫性の必要性
- 付加価値的なサービスと情報へのアクセス
- 信頼の置ける第3者の保証する情報品質の確保
したがって、ロゼタネットでは開発されたPIPや会員企業のWebサービスの登録代行をサービスするレジストラの検討もしています。ロゼッタネットでは現在140以上PIPを開発中ですが、そのうち標準として策定された48PIPに、バージョンアップした版数分まで加えると83のPIPがすでにUDDIには登録されています。
そのサービスタイプとは記述、ある概観URL、 ビジネス識別子とサービス分類を含みます。
- 例:記述とは
- 「製品購入者に技術情報を要求させたり、製品販売者が情報を送付したり、受信の確認を受取ることを可能にする」
- 例:概観URL
- http://www.RosettaNet.org/RosettaNet/Doc/0/I7D753PL97A1311M0304UQ4J39/2A5QueryTechnicalInfo.zip
UDDIに発行するにはアカウントを取得して登録を完了する必要があります。
図8のステップ1、 2、4 はプログラム可能です。
- Code snippets on next slides…
- Ref. http://uddi.microsoft.com/developer/default.aspx
- 図8のステップ 3 (ユーザーインタフェースを介して)は人間が処理する必要があります。
- GUI を示し、その結果としてダウンロードをして下さい。
ビジネスを登録するには
Webサービスで発行したいビジネスを登録するにはWSDLで記述して、UDDIに登録します。
サービスを追加するには
サービスを追加するには下記の例のように同じくWSDLで記述して追加することも可能です。簡単な修正追加は手作業でも可能かもしれませんが、いずれにしてもWSDLを記述したり、コーデイングして機械可読にすることは簡単ではないので実際にはJavaか何かで開発されたツールを使って、ルールベースでGUIツールを使って作成したWSDL記述を自動生成してもらうことになります。
ロゼッタネットにとって次にやることは何か
RosettaNet* はサービスタイプと登録の保守にコミットしています。取引当事者は自分のビジネスとサービスを登録します。取引当事者は自分のビジネスとサービスを保守します。
UDDIでRosettaNet* ベースのWebサービスを探すには
ユースケース1:パートナーと製品の選択*
まず、図14の様に登録パートナーはDUNSで、またRNTDの辞書に定義されたクラスがUNSPSCコードでtModelに登録されているとこの機能を使ってある技術者は回路基盤の設計プロセスで必要な電子部品の取引相手と製品の選択が容易となります。
ユースケース2: 仮想カタログ
見つかった取引相手から仮想カタログを活用して設計者は新設計を支援する様々な新デバイスを調査したり、特定の製品属性や拡張ソリューションを求めるために活用されるのが下記の図15の事例です。
ユースケース3: 製品発見
ある製品プロパテイの属性条件を使って設計技術者が検索するとその条件にあった製品を見つけることができます。その事例が下記の図16です。
ユースケース4: パートナ発見
ひとつ以上のプロパテイ属性条件を与えて、照会をかけるとその条件にあった製品を扱っているパートナーを設計者が見つけることができます。その例を図17に示します。
ロゼッタネットジャパンではPIP2A9製品情報照会応答の標準策定をするマイルストーンプログラムに参加、標準を改定すると同時にシステムの実装のために沖電気も実証実験にも参加して実際にシステムを構築しています。情報を活用するユーザーと情報を提供するサプライヤの役割を決めて電子部品情報をインターネットを経由して検索できるか、あるいはローカルレジストリもしくはプライベートUDDIを活用して横断検索した結果を自動的に一覧表にまとめたり、自社内の部品情報データベースに取り込むにはどうしたら良いのか検討しています。この結果が検証されてすべての問題を解決した暁にはオープンな環境でも検索できるようにしたり、すでに公開している沖電気の電子部品情報付加価値サービスとも連動する予定です。要するに、いちいち必要なときに検索をしていると時間がかかったり、品質情報やライフサイクル情報あるいは代替部品情報など個別に調査検証しないと入手できない付加価値情報をあらかじめデータベースに集めておいて有償で利用できるサービスもロゼッタネットの標準で利用できるようにする予定です。
PTCの製品であるPartLinkを活用して数社の部品情報をロゼッタネット技術辞書に従って登録、RNTDで自動生成した検索画面を使って、電子カタログ検索機能を実現しています。電子カタログポータル内部データベースの検索はもちろん、ロゼッタネット対応のユーザーであれば、PIP2A9の標準で実現している機能をRNIF2.0のメッセージ交換仕様でXMLメッセージを照会、インターネットを経由して他社の同じPIP2A9標準で部品情報データベースを公開しているサプライヤーの情報も横断検索できます。
あるいは一般Webのユーザーでもブラウザーさへあれば、この電子カタログポータルに入ることが可能です。つまり、通常のHTMLの電子カタログから入ってきてXML対応のPIP2A9部品情報照会応答機能も活用できます。
Webサービスについて2002年4月に調査してきた米国の現状から考察した国際電子商取引の標準化のためのXML/EDIの実装技術としてみた場合の個人的な見解を述べると、すでに米国では過去10年以上にわたり、企業統合での企業情報システムの統合のためのEAIの手段としてIBMのMQSIやTIBCOのBUS技術で金融業界を始め、各種業界で既存の汎用コンピュータシステムのリソースや資産を活した各企業やグループ内での基幹業務システムのお金と開発工数のかかる密結合な統合が行われてきていますがこの2−3年の間に、それと同様のことを疎結合で開発されたEJBコンポーネントの再利用も可能にしながら低コストでシステム統合を実現するWebサービスを活用する企業も現れています。しかし、.NETフレームワークやWebsphereやSunONEなどのプラットフォーム上でWSDLを介してシステムの相互運用性が確保されているとはいえないのが実態でベンチャ―企業の開発したツールをそれぞれのプラットフォーム上で活用してWSDLの自動生成や疎結合によるシステムの統合を実現しているのが現状のようです。これからは日本でも各種サービスのコンポーネントやインタフェースをWSDLで記述してSOAPベースでメッセージの交換を実現することにより、インターネットやイントラネットを活用して企業グループの基幹業務システムの統合や業界の再編のためのシステム統合の技術として実質的なEAIを実現する事例がどんどん出てくると思われます。それが外部の共通のプロセスでロゼッタネットやebXMLで標準化されたビジネスプロセスを活用してサプライチェーンを構築する技術としてもこれからは活用されることになるかもしれない。しかし、米国の開発ベンダーやユーザーの状況を聞いてみるとUDDIについてはセキュリテイの問題やトランザクションの信頼性の問題が解決されるまでは、欧米でも公開を希望するユーザーは少なく、たとえ、技術的に利用していてもプライベートUDDIやローカル・レジストリを使って実ビジネスの実現のためのWebサービス技術の実装が先行するのではないかと思われます。確かにロゼッタネットのPIP2A9の製品情報照会応答の実証実験でもファイアーウオールを超えて自由に各社のデータベースを検索することは現状では各社の情報規格部門の方針も異なりますし、セキュリテイの問題からもそう簡単にはできないことは経験していますので米国の現状は当然と思われました。したがって、Webサービスで何でも今すぐ実現できるような夢物語は今後の楽しみとしては語る人がいても構いませんが、実ビジネスではガートナーのコンサルタントが言っているようにまだ、Webサービスの開発ツールが出揃ったところで、米国でも普及するのは2−3年かかるといっているのが妥当なところではないでしょうか。
参考文献
(1) デジタル・エコノミー1 米国商務省リポート
(2) 平成10年度EC/CALS調査委員会報告書、企業間電子商取引の実用化動向
(3) 平成11年度 情報化推進基盤整備(生産・調達・運用支援統合情報システムに関する調査研究)成果報告書
(4) 半導体のためのXMLカタログに連動するXML/EDIシステム実装化の考察 藤岡慎弥CALS /EC Japan 1999 論文集(1999年11月)
(7) ロゼッタネット完全解説 オーム社出版局 編著者:伊藤昇・藤岡慎弥
(8) UDDI: Applying it to RosettaNet Services and Extending it to Dynamic Service Discovery by Mr. Joel Munter-UDDI Team Lead E-Business Solutions Laboratory Intel Corporation August 23, 2001
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